八ツ三館宿泊記後編。

 

館内の風景を送ります。

 

旧玄関

 

明治38年(1905)築造の本館旧玄関。

 

かつて賑わった空間も今ではひっそり。

 

 

移ろう時を見つめてきた恵比寿様と大黒様。

 

 

立派な神棚の天井には"雲"の文字。

 

文字で描くのが飛騨スタイル?

 

 

吹き抜けを見上げる。

 

 

ここで「あゝ野麦峠」の撮影が行われました。

 

前回宿泊時は飾り付けもされていました。

 

*2011/10の写真

 

旧玄関の片隅に「あゝ野麦峠」の資料を展示している部屋があります。

 

 

「あゝ野麦峠」は山本茂実が昭和43年(1968)に発表したルポルタージュで、諏訪や岡谷の製糸工場で働く飛騨の少女達の過酷な日々が描かれています。

 

昭和54年(1979)には大竹しのぶ主演で映画化もされ、社会派映画ながらも、年間邦画興行ランキング2位の大ヒットとなりました。

 

 

雪積もる本館の模型。

 

 

映画版には主演の大竹しのぶの他、原田美枝子、古手川祐子、地井武雄、三國連太郎らが出演しています。

 

 

飛騨の貧しい農村から危険な野麦峠を越えて、諏訪や岡谷の製糸工場に出稼ぎに赴く少女達の中には、ひと財産築く者もいれば、過酷な環境で結核で亡くなる者、自ら命を断つ者もいました。

 

富国強兵の号令の下、列強に肩を並べた大日本帝国を牽引したのが絹の輸出取引でした。

 

明治時代の日本の勃興を支えた女工達…国の繁栄の裏で犠牲を払った彼女らの存在を胸に刻んで。

 

 

クラシカルな戸棚。
 

精巧な柱や透かし彫り、見ていて飽きません。

 

 

役所よりも早く電話を導入したそうで、今も残る"電話一番"の札がその歴史を物語ります。

 

 

この部屋で「あゝ野麦峠」を読む贅沢。

 

明治時代、ここで多くの製糸業関係者や女工のドラマが繰り広げられ、120年の時を経て、物語を通じて私もその歴史の中に暫し身を置く。

 

物語が繋ぐ100年を超える刻。

 

 

近い内に、"糸都"として栄えた信州岡谷に行こうと思っています。

 

 

玄関から奥の大浴場へと続く廊下。

 

湯は近くの流葉温泉からの運び湯ですが、広々とした内湯に露天や釜風呂が楽しめます。

*撮影禁止の為、写真は無し

 

しかも、18時迄は露天風呂に振舞い酒もあって、雪見酒も出来たりします。

 

月の間(ロビー)

 

樹齢300年の栃の木の火鉢。

 

 

向かいにはバーカウンター風なスペース。

 

花の間(ミニライブラリー・談話室)

 

昭和初期の食器棚に収められた書籍。

 

部屋に優しい光を灯すレトロ照明。

 

 

温もりの薪ストーブ。

 

お土産処 ギャラリー蔵

 

飛騨の名産や小物が揃っていました。

 

お休み処 観月

 

庭園に面したリラクゼーションスペース。

 

見事な天井の梁に目がいきます。

 

 

歴史の舞台となったかつての表玄関。

 

13年半の時を経て、その間に得た経験や知識により単に感動するだけではなく、心のもっと深い部分で感動をした滞在となりました。

 

人生の豊かさとはこういう事なのでしょう。

 

 

晴れ晴れした気分で宿を後にしました。

 

飛騨古川を去る前に鎮守社へお参りします。