八幡様を後にして、次の目的地へ。


長閑な田園風景の中の屋外博物館へ。

 

◆伝承園◆

 

南部地方特有の曲り家や水車小屋、そして、千体のオシラサマを安置するオシラ堂などが保存・展示されていて、遠野地方のかつての農村の風景や文化を体感出来る施設です。

 

乗込長屋

*入園料¥300

 

茅葺の長屋門から入園します。

 

江戸時代末期に建てられた農家の納屋兼長屋門を移築したものです。

 

工芸館

 

農家の納屋を移築した工芸体験施設。

 

手作りの工芸品も販売されていました。

 

水車小屋

 

水流から動力を得ていた時代。

 

内部には、物理の知恵を使って、臼と杵で米を精米する風景が再現されています。

 

菊池家曲り家(旧菊池家住宅)

(国指定重要文化財)

 

江戸時代中期築造のもので、南部曲り家の聡明期の貴重な文化財です。

 

因みに、曲り家とは、旧南部藩領の盛岡や遠野地方に多く見られる建築様式で、馬屋と母屋がL字型に繋がっている農家建築の事。

 

農耕馬と共に生活した農村ならではの様式。

 

 

郷愁感を誘う軒下の干し柿。

 

L字型に突き出た馬屋から中に入ります。

 

 

壁にプロジェクターで映される馬の映像。

 

土間を抜けて居間に上ります。

 

 

壁の強面のお面はかまど神。

 

竈に火の神を祀る風習は全国に残っていますが、お面を祀るのは遠野地方特有。

 

生活に欠かせない火。

 

その反面、火は制御の効かない恐ろしい存在。

 

そんな火への崇敬と畏れという、相反するような人々の想いがお面にこもっているのでしょうね。

 

 

"語り"が行われる囲炉裏の間。

 

 

板間に入ると、白く小さな足跡…

 

その後を辿って行くと、微かに童の笑い声が聞こえてきます。

 

 

"旧家にはザシキワラシという神の住む家が少なくなく、その多くは12〜13歳の子供"

 

これが「遠野物語」が伝える座敷童像です。

 

厳しくも豊かな自然に囲まれた農村での生活においては、日々のちょっとした幸せや不思議は全て家に住まう小さな神様の成す技となるのは、至って自然な流れな気がします。

 

その神様の姿が幼い子供の姿というのが、"カワイイ"を世界に広めた日本ならではの発想にも思えて、遠い昔から連綿と受け継がれてきた日本人のセンスを感じたりも。

 

 

居間に戻り、奥に続く廊下を進みます。

 

 

オシラ堂へ続く廊下。

 

 

オシラサマとは…

 

東北地方に伝わる蚕や馬、農耕の神の事です。

 

「遠野物語」では以下の由来譚が記されています。

 

馬に嫁いだ娘に父が怒り、馬を桑の木に吊るして殺めてしまい、それを悲しんだ娘が馬と共に天に登っていってしまいます。


そしてある日、夢枕で父に"馬の頭に似た白い虫を桑の葉で育て、絹糸を作るように"と告げ、父はその白い虫(蚕)で絹糸を作り、生活の糧にした。

 

養蚕業の起源とも言われる伝承です。

 

その為、オシラサマは桑の木で作られた馬と人を模った二体を対として祀られます。

 

 

地域ごとにその由来や儀式、禁忌が異なり、今も謎多き信仰・風習。

 

オシラ堂

 

千体のオシラサマが祀られている光景は、壮観でありながらも、どこかおどろおどろしい。

 

赤や緑の布に願い事が書かれています。

(内容を見ると、軽い絵馬のノリ)

 

津軽地方にも色濃く残っているそうなので、いつか津軽のオシラサマ探訪をしてみたい。

 

伝承園を後にして、次のポイントへ。

 

ホップ畑

 

ビールの原料、ホップ。

 

岩手県は国内生産量一位で、遠野はその中でも屈指のホップ産地。

 

昭和38年(1963)、農業振興の一環でキリンと栽培契約を結び、一躍、ホップとビールの里となりました。

 

キリンの"一番搾り とれたてホップ"は遠野のホップのビールです。

(これがまた美味い)

 

ホップ畑を抜けると、巨大な山門。

 

常堅寺

(宗派:曹洞宗)

 

カッパ伝承で知られる寺院です。

 

山門に安置されている仁王像は慈覚大師作と伝わり、早池峰神社から移されたものです。

 

蓮池

 

かつては蓮が茂った池でした。

 

近年、水も枯れていたのを河童が泳げるようにと、地元有志が造成したそうです。

 

カッパ淵

 

カッパが棲息していたと伝わる小川。

 

常堅寺が火災に見舞われた時、この淵のカッパが火消しをしてくれた事から、当時の住職が河童狛犬を祀って感謝をしたのだとか。

 

河童狛犬

 

頭に凹んだお皿付きの狛犬さん。

 

各地に様々な伝承が残る河童。

 

自然の不思議と同居していた時代、カワウソを河童と思い込んだり、見誤ったりもしたでしょうし、自然への畏怖や感性が実在の動物と重ねて生み出したものなのかもしれませんね。

 

いずれにしても、人と自然との強い繋がりを感じさせる伝承に深い興味が湧きます。

 

ご当地マンホール

 

河童と曲り家のデザイン。

 

バスで山間の集落再現施設へ向かいます。