まいど~ニコ
生きもの大好きドキドキ絵本講師の
くがやよいです。
 
 
 
五月一日。
上皇后になられた美智子さま。
 
1998年(平成十年)に
インドのニューデリーで開かれた
IBBY(国際児童図書評議会)の
世界大会で上映された
美智子さまの基調講演が収録された本です。
 
 
 
 
 『橋をかける  子供時代の読書の思い出
美智子 著 (文春文庫)
 
 
 
・・・これ、すごい本です。
本当に。
  
 
子どもと本に関わる大人の人たちに
ぜひ、読んでほしい一冊です。
 
 
 
 
表紙の装画は、安野光雅氏によるもの。
描かれているのは、皇居の白樺の木。
美智子さまのお印でもある木です。
(中扉には、薔薇の花・プリンセスミチコが)
 
 
 
ご自身の子育て中に読まれた本のこと、
幼いころから本に親しむことが
いかに子どもの心を豊かにし、
その根っこを育て、
はばたく翼を与えることか。。。
 
 
 
戦時中、少女時代を疎開先で過ごされた
美智子さまを支えた本のこと、
それらが、喜びはもちろん、
悲しみも伝えてくれたこと。
 
そして世界平和への真摯な思いが
綴られています。
 
 
 
てのひらに乗るぐらいの小さな本ですが
読んでいると、美智子さまの
お人柄に触れるような気がします。
そして、溢れるような思いが伝わってきて
胸がいっぱいになります。
 
 
 
先の天皇陛下と共に激戦地や被災地を訪れた
美智子さまの行動の源になったのは
(もちろん、それが全てではないでしょうが)
ひょっとしたら子どもの頃の読書体験に
由来するものかもしれません。
 
 
 
・・・・・・
 
 
 
この本の中に
日本の神話について触れた個所があります。
 
 
戦争中、疎開先で 教科書以外に
ほとんど読むものがなかった時代、
東京からお父上が持ってきてくれた本の中に
日本の神話伝説の本があったそうです。
 
 
 
しかし、戦争が終わり、米軍の占領下では
日本の教育の中から
それらはことごとく排除されてしまいました。
 
 
 
神話や伝説は、
正確な史実ではないかもしれないけれど
不思議とその民族を象徴し、
民話の世界を加えると、
それぞれの国や地域の人々が
どのような自然観や生死観を持っていたか、
何を尊び、何を恐れたかが
うっすらと感じられ、 
 
やがて、異国を知ろうとする時、
その国の神話や伝説、昔話が
(それだけがその国の全てではないことは勿論ですが)
楽しい入り口になってくれたそうです。
 
 
 
 
≪二、三十年程前から、「国際化」「地球化」
という言葉をよくきくようになりました。
しかしこうしたことは、ごく初歩的な形で、
もう何十年 ―もしかしたら百年以上も前から―
子供の世界では本を通じ、
ゆるやかに始まっていたといえないでしょうか。
 
・・・・・・
遠く離れた世界のあちこちの国で、
子供達はもう何年も何年も前から、同じ物語を共有し、
同じ物語の主人公に親しんで来たのです。≫
 
 
 

 

 

≪(読書は)ある時には私に根っこを与え、

ある時には翼をくれました。

この根っこと翼は、私が外に、内に、橋をかけ、

自分の世界を少しずつ広げて育っていくときに、

大きな助けとなってくれました≫

 

 

 

 

 

≪そして最後にもう一つ、本への感謝をこめてつけ加えます。

読書は、人生の全てが、

決して単純でないことを教えてくれました。

私たちは、複雑さに耐えて

生きていかなければならないということ。

人と人との関係においても、国と国との関係においても。≫

 

 

 

 

≪どうかこれからも、これまでと同じく、

本が子供の大切な友となり、助けとなることを信じ、

子供達と本を結ぶ(中略)

大切な仕事をお続けください。

 

 

子供達が、自分の中に、しっかりとした根を持つために

子供達が、喜びと想像の強い翼を持つために

子供達が、痛みを伴う愛を知るために

 

そして、子供達が人生の複雑さに耐え、

それぞれに与えられた人生を受け入れて生き、

やがて一人一人、私共全てのふるさとであるこの地球で、

平和の道具となっていくために。≫

 

 

(※世界的に知られた『平和のための祈り』の冒頭の一節

「我をして御身の平和の道具とならしめ給え」を指します。)

 

 

 

 

 

 上皇后美智子さまの本を思い出させてくれた新聞記事です。

 

  2019年4月29日の毎日新聞「余禄」より。
 
 
 
 
美智子さまが書かれた絵本のことも
また別の記事で紹介したいと思います。
 
 
『はじめてのやまのぼり』
美智子/文
武田和子/絵
至光社
 
 
 
青文字部分は、本文からの引用です)