BlogMagazine-SoL -『ソル』-ママ&ワイフを楽しむおんなたち-肉食系男子


「キリン狩りに行こうよ!」と誘われて落ちないオンナがいるだろうか。

ケニア北部の半砂漠地帯で今も伝統的な遊牧・狩猟生活を営むトゥルカナ族。主食は牛・ヤギの生き血とミルク。割礼の儀式を終えた男子はモランと呼ばれる戦士階級になり、家族とは離れ、厳しい戒律を守りながら森で暮らす。家畜を守るためにヤリでライオンと戦うこともある。……ウルルン滞在記の前説ではない。今年のお正月から付き合い始めた出来立てホヤホヤのマイ・ダーリンのご実家の話である。


草食系男子がブームになるずっと以前から『ドラえもん』ののび太くんが好みのタイプだったこの私が、「キリンは食べ物!」と言い切る超肉食系のトゥルカナ族と恋に落ちるとは、本当に世の中何が起こるかわかったもんじゃない。


しかも出会った場所はアフリカでも日本でもなく、南米コロンビア。彼は私が日本語を教えている大学でスペイン語を学ぶ留学生。
コロンビアでは珍しいアフリカ系留学生に好奇心から声をかけ、演劇ボランティアのグループに勧誘したのは私だった。その後、大学で顔を合わせる度に長話をするようになり、授業の合間にカフェテリアでお茶するようになり、よく家に遊びに来るようになり、告白されたのが去年の年末。


一度目は彼氏いない歴十○年のカナシサで動揺のあまり反射的に断ってしまった。年の差11歳(彼は25歳、私は36歳)、というのも普通に考えればけっこうな壁になるハズなのだが、彼の場合、あまりにも他の壁が高過ぎてそれどころではない。1月からボゴタの大学に行くことが決まっているのですぐ遠距離になるし、第一文化も習慣も何もかも違いすぎる。言葉もお互いにとって外国語であるスペイン語で会話するしかない。


私が仰天したトゥルカナの習慣はいろいろあるが、中でも「モラン(戦士)は女性と一緒に食事をしてはいけない」、「空腹や痛みを人に訴えてはいけない」、「一夫多妻制」などは日本人には理解しがたい。しかも料理他家事全般が苦手な私に対し、男性が家事に手を出すのはタブーだというトゥルカナ社会。


「だからカオリはアフリカでは結婚できないね。……僕以外とは」と手際よくケニア料理を作りながら白い歯を見せて笑う彼のチョコレート色の腕をかじってみると、サバンナの太陽の味がした。


written by かおり