■薬剤師 横山ひとみさん
失業率が5%を超え、「就職超氷河期」ともいわれる今、手に職を持つ人、それが国家資格であればなお強みがあるもの。今回紹介する横山さんはキャリア10年の薬剤師。「きっかけは、白衣へのあこがれだったのですが…」とはにかむ横山さん、「1枚の処方箋から患者さんに合った薬の飲み方などのアドバイスを加え、喜んでもらえることがうれしい」とやりがいを語ってくれました。
将来の仕事として薬剤師を考え始めたのは、中3の時。「友人2人と進路の話をしていて、白衣の職業ってかっこいい、となり『私は臨床検査技師にする』『私は作業療法士』と聞いて、じゃあ私は薬剤師かな、と」。そんな発端でしたが、高校進学後も、薬剤師への思いはぶれることがありませんでした。「ちょうど同じころ、市販薬を飲んでめまいを起こして。自分のような体験をほかの人にさせたくないという思いもありました」。薬科大で4年間学び、国家試験に合格。薬剤師としてのキャリアがスタートしました。
最初は整形外科系の一般病院。結婚を機に調剤薬局に転職、体調を崩したため1年ほどで現在の調剤薬局に移ります。薬局は、その病院によって扱う薬の種類が限られるため、スキルアップを求めて転職する薬剤師は少なくないそう。横山さんも「院内薬局は、薬剤師と患者さんの間に、医者や看護師の意思が介在する。患者さんと1対1で対応したい、という気持ちが強くなり、調剤薬局を選びました」。勤めて半年ほどで妊娠。長女出産後9カ月で職場復帰します。同僚は子育ての大先輩ばかり。理解ある職場のはずでしたが━。
「上の子が病気で休むことが多く、職場に迷惑をかけてる気持ちが強くて、余計がむしゃらに働いていました。1人分にも満たない仕事ぶりで申し訳なく、無理して遅番も入れていました」。2人目妊娠中は切迫流産、切迫早産も経験。「もう無理。仕事辞めます」と泣きながら社長に訴えました。すると「突発的な休みには対応できるから心配しなくていい」。職場の先輩たちも「いる時に頑張ってくれればいい。自分たちも通ってきた道、今度は私たちが助けられてきたことをお返しする番なの」と言って励ましてくれました。「理解ある人たちに囲まれて本当によかった。子供を産んで割り切ることも覚え、強くなれました」と横山さん。
実は、これまでの職場を辞め、今年から別の調剤薬局に転職することに。「5年間で仕事をやりつくした感があって。新しい職場では、扱う薬の種類も全く異なるので、挑戦してみたくなりました。土日休みなので、子供に習い事をさせられるというのも大きかったです」。長女が小学校に上がったら、子供との生活に重心を置くため、いったんパートに切り替えるという横山さん。「パートでも、現場にいれば情報は入ってきますから。薬剤師はライフワークで、自分の“幹”。ほかの活動をしていたとしても、薬剤師としての知識や体験が生かせると思うんです」。
■プロフィール
1977年2月生まれ。1999年北海道医療大学卒業後薬剤師となり、現在は調剤薬局に勤務。2003年に同じく薬剤師の夫と結婚、2005年7月に長女、2008年1月に長男出産。2回目の育児休暇中に多くの出会いがあり、健康食品管理士にベビーマッサージインストラクター、チャイルドセラピスト、アロマ検定1級を取得。今後は漢方、薬膳も勉強し、赤ちゃんから大人まで気軽に健康相談できる薬局やコミュニケーションスペースを作るのが夢。
■横山さんのある日のスケジュール
06:20 夫、子供とともに起床、朝食作り、夕食準備
06:50 朝食
07:55 子供、保育園送り(夫) 出勤
08:30 勤務開始(12時から1時間昼休み)
17:30 退社
18:15 保育園お迎え
18:55 夕食
19:30 洗濯干しながら子供と遊ぶ
20:00 子供と入浴
21:00 子供の寝かしつけ
22:00 次の日の夕食の支度、一人の時間
24:00 就寝
■薬剤師になるには…
国家試験の受験資格を得るには、薬科大や大学の薬学部卒業もしくは卒業見込みでなければいけない。薬に関する基礎知識を身につけた後、病院や薬局で実務研修を受ける。国家試験に合格後、薬剤師名簿に登録することで免許証が交付される。就職先としては病院や調剤薬局がよく知られるところだが、製薬会社や医薬品卸、また公務員として保健所勤務や水道の水質管理などの仕事に携わることもある。また、製薬業界の営業職である医薬情報担当者(MR)は、薬剤師資格が不要なため、文系出身者も少なくないといわれている。
written by ズバーン photo by ナオト