SoLライター陣がおすすめするカルチャーアイテム。
今月のテーマは「自分へのご褒美!お取り寄せスイーツ」!!
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カトルカール/ケーキハウス ツマガリ
料理人の腕と素材の良さは、ごくシンプルなものを作るときにこそ、白日の下に晒されると思う。
これらが顕著に表れるものの一つが「焼き菓子」。
基本的に甘い物が好きではない。喫茶店で女友達がきゃあきゃあ言いながらパフェを選んでいる横で、迷うことなく梅昆布茶をオーダーする高校時代を送ってきた。「送料」なるものを払って、さらにリピートするなんて、よほどじゃなければありえない。
この、よほどじゃなければありえない事をさせてしまうのが、このお店。
「ツマガリ」との出会いは衝撃的だった。友人から送られたこの店のお菓子。なんてことはない、むしろ地味な包装。ありがちなラインナップ。ところが、開封して一度食べ始めると止まらなくなってしまったのだ。今まで食べていたクッキーやケーキの概念を覆す味と食感に私は夢中になった。気がつけば、空になった袋が散乱していた。意識が飛ぶほどお菓子に夢中になるなんて、生まれて初めての出来事だった。
「自分で作れるはずのもの」にお金を取られると、なんだかだまされた気分になるという、けちくさい私が次にとった行動。それは「再現」。袋の裏には普通のレシピ本に出てくるような、単純な材料が書き連ねられている。手に入る限りの良い材料を準備して、いざ戦闘開始!
私は作りまくった。配合を変え、手順を変え、温度や焼き方を変え。調べ尽くせる限りのテクニックを導入して。大げさではない。粉や砂糖の消費量が多すぎて、最後は業務用スーパーに通い詰めたほどなのだから。……結果、見事にすべて撃沈した。
「この原材料名は偽表示じゃないのか。何か魔法の粉でも使っているのではないか?」と疑ってしまうほど、上手くいかないのだ。こんちくしょう!今の仕事を辞めたら、ツマガリに就職してやる!と思いつめたほどだ。
似たような味にはなっても、空気を絶妙に含んだあの食感だけはどうしても真似できない。
今日もポチリとケーキやクッキーをカートに入れては、負け惜しみをポツリ。
「作れないものにこそ、お金を払う価値はあるのだ」と。
written by 織部桃