BlogMagazine-SoL -『ソル』-ママ&ワイフを楽しむおんなたち-jin


よく晴れた夏の日、庭でパーティをすると想像しよう。大きなガラスのピッチャにジントニックをたっぷり。さあ、これに何を浮かべるだろうか。
レモン?ライム?
いえいえ、私のステイしていたロンドンではキューカンバーが常識だった。
一般にはピムズをレモネードで割ったものが夏の飲み物としては定番のようだが、ピムズよりも色が綺麗という理由から、マムはもっぱらジンであった。

その夏は130年ぶりの猛暑だったこともあり、霧の町ロンドンを1度も体感することはなかったが、その代わり庭でのパーティやピクニックはあちこちで行われ、キラキラとまぶしいヨーロッパのおひさまを存分に堪能したものだ。そんな中、ジントニック(もしくはピムズ&レモネード)にキュウリは定番で、誰がホストをつとめても必ずお目見えした。

キュウリといっても日本のもののように水気はなく青臭くもない。ズッキーニくらい太いそれをペティナイフでしゅっしゅっとスライスしていれてゆく。
渇いた喉にほのかな刺激と潤いがもたらされ、わずかなアルコールのお陰でご婦人方の舌も滑らかになる。飲んだそばから汗になるので飲みすぎても悪酔いするということもない。
この夏のスペシャルな飲みものを片手に、あるときはクリケット観戦に興じ、またあるときは古いレコードが奏でる調べにあわせてダンスをして、楽しくて優しい時間を共有することの贅沢。それはまさにプライスレスなひとときであった。

日本に帰ってきた今でも、暑い真夏の昼下がりにはあの味を思い出す。喉が、身体が、あの優しい夏を覚えているのだ。


written by コマツマコ