心の声をきく わたしを生きる術 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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東京都渋谷公園通りギャラリーで現在、開催されているのは、

「セルフケア」をテーマに、アール・ブリュットと現代美術の作家を紹介する展覧会です。

その名も、“心の声をきく わたしを生きる術”

 

心の声を聞く展覧会:稲田萌子、志村信裕らの作品
 
 
まず、1人目に紹介されていたのは、
東京都町田市にある「クラフト工房 La Mano」に所属する稲田萌子さんです。
鉛筆削りやコーヒーミルを回す動作を好んで行っていた稲田さんは、
2004年頃より、色鉛筆のこすれる音や感触を楽しむように円環を描き続けているそう。

彼女にとって心地よいリズムで描かれたというだけに、

そうして出来上がった円環はどれも、目にも心地よかったです。

 

稲田萌子さんの円環作品3点

 

 

実際の制作風景を目にしたわけではないのですが、

ゆったりとした速度で線が引かれたであろうことが、不思議と伝わってきました。

 

稲田萌子さんの円環作品 セルフケア
稲田萌子さんの円環作品、癒されるアート

 

 

また、何よりも印象的だったのが、しもぶくれのような形をした円環。

おもちやスライム、あるいは、もっちゅりん(食べたことないけど)を彷彿させるものがありました。

眺めているだけで、癒される。

そんなヒーリング効果のある稲田さんの作品群を、

たっぷりと味わいたい人のために、会場ではベンチが用意されています。

 

 

よく見ると、その表面には映像が投影されていました。

 

水面の揺らぎが輪ゴムの形を変える

 

 

こちらは、現代美術作家の志村信裕さんによる映像インスタレーション作品です。

泡ように見えるものの正体は、水の中に沈めた輪ゴム。

水面を動かし、その揺らぎによって、

輪ゴムがさまざまな姿に変わる様が映し出されています。

ただそれだけ、といえば、ただそれだけ、なのですが。

ずーっとぼーっと眺めていられる謎の中毒性がある作品です。

 

本展では、志村さんの作品が他にも。

カーテンで仕切られたこの空間は、内部に入ることが可能となっています。

 

木漏れ日の映像が映るカーテンの展示

 

 

中に入ると、この通り。

 

志村信裕 映像インスタレーション 木漏れ日

 

 

木漏れ日の映像が映し出されていました。

カーテンで仕切られた空間で、木漏れ日の映像を眺めるだなんて、

人生で初めての経験のはず・・・なのに遠い昔にこの光景を目にしたことがあるような?

その時の記憶は一切ないありませんが、

胎内にいる時がこんな感じだったのかもしれません。

 

ちなみに。

その向かい側には、本展のための新作《心月》が展示されていました。

 

鏡に映る木漏れ日の映像

 

 

この写真ではまったく魅力が伝わらなくて恐縮ですが(汗)
実物はこの写真からは想像できないくらいに、幻想的で魅力的な作品です。
是非、騙されたと思って、実物を観に行かれてみてくださいませ。
 
 
さてさて、続いて紹介されていたのは、
「社会福祉法人しらかばの会 たてしなホーム」に所属する吉田雅美さん。
プライバシーに配慮したためでしょうか、撮影は不可でしたが、
本展では、幼少期からの習慣で今なお書き続けている吉田さんの日記が展示されています。
日記には、その日にあったことはもちろん、
食べたものについて詳細に記録されていました。
なお、1冊だけは、ビニール手袋着用で、
実際にめくって読むことが可能となっています。
内容以上に印象的だったのは、筆圧の強さ。
ポコポコとした日記の表面を撫でると、妙な心地よさがありました。
 
 

本展の最後を締めくくるのは、写真家で文筆家の植本一子さん。

2003年にキヤノン写真新世紀で優秀賞を受賞した彼女は、

2013年より自然光を使った写真館「天然スタジオ」を立ち上げ、

一般家庭の記念撮影をライフワークとしています。

本展で紹介されていたのは、昨年刊行されたエッセイ、

『ここは安心安全な場所』に登場する施設にまつわるものです。

 

馬と共にある暮らし、写真家 植本一子展

 

 

その施設とは、クイーンズメドウ・カントリーハウス。

遠野にある馬と人とが共にある暮らしを営む小さな施設です。

馬がいるものの、乗馬クラブでも観光牧場でもなく、

主にセミナーやワークショップが不定期に行われているのだそう。

 

雪景色の中で休む馬たちの写真
馬と風景の写真展示

 

 

植本さんは数年前に、この施設と出逢い、

以来、数年にわたって通い続けているとのこと。

その中で、馬との絆のようなものが芽生えたのでしょうか。

写真の馬たちは、どこか心を許したような表情をしていました。

 

馬の穏やかな表情、クイーンズメドウ

 

 

作風やジャンルも異なる出展作家の4人。

それぞれに特に接点はないようですが、

どの作品も、心穏やかになれるものばかりでした。

心をセルフケアしたい人に、強くオススメしたい展覧会です。

星

 

 

ちなみに。

ギャラリーに併設された交流スペースでは、

“ちぐはぐの壁 あの線この線だれの線?”が同時開催されています。

 

「いっしょにアトリエ」展 渋谷公園通りギャラリー

 

 

合板やプラスチック波板に、来場者が思い思いに線を引いていい。

自由参加型のワークショップです。

「線」というものの、ただの線はほとんどなく、

蓋を開けてみたら、絵を描く人が多かった模様。

僕が想像していた感じとは、ちょっと違うものになっていました。

 

子供たちの線画とエイリアンアート

アート作品展示:個性豊かな線画と色彩
 

 

なお、ギャラリーのすぐ向かいには、
電話ボックスが設置されているのですが・・・

 

電話ボックスに引かれた線
 
 
そのガラス面にも、思い思いの線が引かれていました。
こっちには線を引いちゃ、ダメ。
 
 
 
 
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