ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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現在、東京都現代美術館で開催されているのは、

“ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー”という展覧会。

 

ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー展
 
 

「アイデアこそが芸術作品である」という考え方を提唱し、

「コンセプチュアル・アート」という言葉を作った男、ソル・ルウィット(1928~2007)

その日本の公立美術館では初となる展覧会です。

星

 

 

展覧会の冒頭を飾るのは、《不完全な開かれた立方体 6/20》

 

ソル・ルウィット:不完全な開かれた立方体 6/20

 

 

立方体を決して完成させない。

そんなアイデアを起点として生まれたという、

〈不完全な開かれた立方体〉シリーズのうちの1点です。

なお、辺の一部を欠いた立方体は、

122通りのヴァリエーションがあるそうで。

シリーズ作品は、その122通り全て制作されているそうです。

そう言えば、原美術館ARCの庭にも、1点ありましたっけ。

全部同じ形だとばかり思い込んでいましたが、

今度訪れた際には見比べてみようと思います。

 

さて、本展の目玉と言えるのが、

本展のために制作された「ウォール・ドローイング」の数々です。

 

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ウォール・ドローイング #770 カラーインク

 

 

・・・・・・ん?本展のために??

ソル・ルウィットは、2007年に亡くなっています。

であれば、どうやって“本展のために”作品が制作できたのでしょう??

実は、彼の「ウォール・ドローイング」とは、

“アーティスト本人以外の手で描かれること”を想定して制作されたもの。

彼、あるいは彼の財団が指定した「ドラフトマン」の手によって制作されています。

つまり、ルウィット本人がいなくとも、指示書をもとに、

「ウォール・ドローイング」は制作することができるのです。

 

“自分の手で制作しないなんて、そんなの芸術じゃないじゃん!”

 

と、不思議に思うかもしれませんが、

音楽で言えば、楽譜をもとに演奏するようなもの。

ベートーヴェンやモーツァルトの死後も、

その曲は演奏されているのに近いものがあります。

 

 
さてさて、本展のために制作された「ウォール・ドローイング」は全6点。
中でも印象的だったのが、本展のメインビジュアルにも採用されているこちら↓
 
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その名も、 《ウォール・ドローイング #283 
青色の円、赤色の直線、黄色の直線の位置
青色の円は壁の中心を中心とする直径80インチ(200cm)で、
赤色の線は円の中心と円周を結ぶ線分の中点から壁の右上方向へ壁の右上角まで描かれ、
黄色の線は赤色の線が円周と交わる点から
円周と壁の左辺の中点を結ぶ線分を二等分する点まで描かれる》です。
タイトル長っ!
数学の図形問題かと思いました。
 
続いて印象的だったのが、こちらのウォール・ペインティング。
 
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パッと見、何が描かれているのか、

イマイチよくわからなかったのですが。

近づいて観てみると・・・・・

 

ウォール・ドローイング #104A 一万本の線

 

 

無数の線が描かれているのがわかります。

タイトルは、《ウォール・ドローイング #104A

一万本のランダムな直線、長さ約4インチ(10㎝)、
10フィート(300㎝)四方の枠内に描かれる》です。
指示するほうは楽ですが、実際に手を動かすほうは決して楽ではありません。
にもかかわらず、ルウィットはこの作品に対して、次のように語っているとか。
 
「ただ無数の線が壁にあるだけでは、
 そこに一万本の線があるとはだれも認識できないだろう」
 
いやいや、せめて「ドラフトマン」の苦労が、
一目で伝わる作品を作ってあげて欲しいものです。
 
 
ところで、「ウォール・ドローイング」は、
自分自身では描かず、他人が指示に従って描くだけに、
その指示は、シンプルでわかりやすくある必要があります。
当然ながら、「ウォール・ドローイング」は、シンプルな形状になりがちです。
しかし、アート界きってのアイデアマン・ルウィットは、
1980年代以降、より複雑な「ウォール・ドローイング」を模索するにようになります。
本展のラストで紹介されていたのは、その頃の「ウォール・ドローイング」。

《ウォール・ドローイング #770 カラー・インク・ウォッシュを塗り重ねた非対称のピラミッド》です。

 

コンセプチュアルアートの展示風景

 

 

それまでの「ウォール・ドローイング」は、
基本的にモノクロ、あっても3原色が限度でしたが、
こちらの「ウォール・ドローイング」は、カラフルかつ淡い色彩であるのが特徴的です。
ただ、実はこの色合いは、3原色+グレーしか使われていないのだとか。
それらの色を塗り重ねることで、淡い色彩を表現しているのだそうです。
近づいて観てみると、そのことがわかりました。

 

オレンジと青のテクスチャ、2色で分割

 

 

くどいようですが、実際に手を動かすほうは決して楽ではありません。

 

 

 

 

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