DESIGN with FOCUS デザイナーの冒険展 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

富山県立近代美術館を前身とする富山県美術館。

その英語表記は、「Toyama Prefectural Museum of Art and Design」。

実は意外にも、日本の公立美術館としては初めて、

「アート&デザイン」を看板に掲げた美術館なのです。

それだけに、富山県美術館は開館以来、

積極的にデザインにフォーカスした展覧会を開催してきました。

現在開催中の“DESIGN with FOCUS デザイナーの冒険展”も、まさにそんな展覧会。

星

今注目のデザイナーやアーティスト、建築家など、

20代から40代の次世代のクリエイター11人(組)を紹介する展覧会です。

 

デザイナーの冒険展ポスター

 

 

展覧会の冒頭を飾るのは、「MARU。architecture」。

建築家の高野洋平さんと森田祥子さんによる建築設計事務所です。

 

富山県美術館の空間デザインと展示
美術館の展示模型
 
 
お二人は本展覧会の会場デザインも担当されているそうで、
その最終的なデザインに至るまでのプロセスが、模型や資料で紹介されています。

なお、向かって左側のたわんだ壁のようなものは、

反対側に周ってみると、鏡面仕立てとなっていました。

 

富山県美術館 会場デザイン 模型

 

 

さて、富山県美術館が太鼓判を押すクリエイターだけあって、

本展に参加しているクリエイターは皆、実力派揃いでしたが、

その中でも特に印象に残った方を厳選してご紹介いたしましょう。

まずは、デザイナーでデザイン研究者の三好賢聖さんから。

三好さんは、東京大学航空宇宙工学科を卒業し、

イギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・アートで博士研究もされた超頭脳の持ち主。

 

シンコキュウのデザインと開発展の展示品

 

 

そんな彼が数年にも及ぶ研究と開発を掛けて制作したのが、

マカロンのような姿をしたこちらの《シンコキュウ》というプロダクトです。

 

《candy》チュッパチャプス容器

 

 

《シンコキュウ》は、人に深呼吸を促すための装置とのこと。

人には、モノの動きについつられてしまう性質(=運動共感)があるそうです。

《シンコキュウ》は、それを応用した装置で、

マカロン(?)の上の部分がフワ~ッと上下すると、

その動きを見ていた人が、自然と深呼吸をしてしまうのだとか。

本当にそうなるのだろうか。

じーっと《シンコキュウ》を見つめるも、

なかなか《シンコキュウ》は動いてくれず。。。

その間、僕の呼吸は完全に止まっていました。

逆説的に、運動共感を実感できました(笑)
(ちなみに、その後、 《シンコキュウ》は動いてくれました)
 
 
続いて印象的だったのは、テキスタイルデザイナーでアーティストの氷室友里さん。
テキスタイルブランドYURI HIMUROを立ち上げ、
オリジナルのテキスタイルを数多く発表しています。
そんなYURI HIMUROの代名詞とも言えるのが、〈SNIP SNAP〉シリーズ。

 

富山県美術館の展示作品群

 

 

一見すると、普通に可愛らしいテキスタイルのようですが、

実はどれも二層となっており、生地の表面をハサミでカットすることで、

下から柄が現れたり、表面にテクスチャーをくわえることができます。

 

PIXEL WEAVE ラグ:恐竜発掘と車
 
 
その遊び心溢れるテキスタイルのデザインは、
女性だけでなく、男性にもファンが多いのだとか。
確かに、これはちょっと遊んでみたくなりますね。
 
テキスタイルといえば、テキスタイルデザイナーの光井花さんも印象的でした。

本展で紹介されていたのは、「PIXEL WEAVE」。

福岡県でイグサ製品を手掛けるイケヒコ・コーポレーションと共同開発したシリーズです。

 

ピクセル織のイグサラグと糸

 

 

福岡県の伝統的な掛川織。

光井さんは、その特徴的な四角い組織に、

デジタルピクセルとの共通性を見て取ったそうで。

そして、ピクセル表現で掛川織のラグ(ござ)を制作しました。

 

ピクセル織のモナリザ風ラグ2種 


 

技法は伝統的なのに、柄が変わるだけで実にモダンな印象を受けます。

 

今回参加したクリエイターの中で最年少のMAI SUZKIさん(1998年生まれ)も、

新しい感性で、伝統的な技術の可能性や未来を探っているクリエイターの1人。

彼女は、釘を使わず木を組み合わせて紋様を作る伝統技術「組子」に魅せられ、

完全球体組子を開発した組子職人のもとで技術を学びながら、部品を3Dモデル化しました。

・・・・・と、文章で説明したところで、「???」でしょうが、

実際に完成した作品は、難しいこと抜きで美しかったです。

 

組子細工の球体作品と影
富山県美術館の展示作品

 

 

なお、最近では、組子のドレスまでも完成させてしまったそう。
SUZKIさんによる組子の進化はまだまだ続きそうです。



 
今回の作家の中で唯一面識があるのが、後藤映則さん。
「歩行」をモチーフに作品を制作するアーティストです。
本展では、大小さまざまな作品で構成されたインスタレーションを発表しています。
 
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どの作品にも歩いている人々の姿を見て取ることができます。
一見すると、どれも映像のように思えますが、
実はどれも一定の方向から光の線を当てているだけ。
 
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まずは、実在の歩行者の動きのアニメパターンを作成するそう。
そして、それを輪っか状に並べて3Dプリンタで出力しているそうです。
出力した立体物を回転させ、光を当てると、
まるでアニメーションのように見えるという仕組み。
ゾートロープ(回転のぞき絵)の現代版と言ったところでしょうか。
(↑それっぽいことを言ってみました)。
 
 
最後に紹介したいのは、デザイナーでアーティストの進藤篤さん。
《LIMINAL》と名付けられた巨大な立体作品も印象的でしたが、
     


 
それ以上に印象に残っているのは、 《candy》です。
 
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その名の通り、キャンディを入れるためのもの。
しかも、チュッパチャプス限定の。
富山県高岡市で400年続く仏具メーカー、
有限会社佐野政製作所によって作られているそうで。
お値段はなんと、3万5200円也!



 
ミュージアムショップでも販売されていました。
これを躊躇なく買える人間が、真のお金持ちなのでしょう。
 
 
 
 
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