現在、シャネルネクサスホールで開催されているのは、
“Synthetic Natures もつれあう世界:AIと生命の現在地”。
リスボンを拠点に活動するアーティスト、ソフィア・クレスポと、
彼女とノルウェーのアーティスト、フェイレカン・カークブライド・マコーミックとが、
2020年に結成したデュオ「エンタングルド アザーズ」による展覧会です。
会場に入ると、まず目に飛び込んでくるのは、
新作の《流動する海洋層:変態するアルゴフロート》。
映像と金属製の造形物からなるインスタレーション作品です。
実は、2000m以深の深海については、いまだ2%ほどしか理解できていないのだそう。
タイトルにある「アルゴフロート」とは、深海用の小型自動観測ロボットです。
ディスプレイでは、そのアルゴフロートの観測データをもとにした映像が流れています。
作品内に点在する造形物は、「アルゴモルフ」とのこと。
「アルゴフロート」に「Morphs(形態/変態)」を組み合わせた造語で、
アルゴフロートが深海の情報を得て帰還したらどうなるのか、AIに生成させたものです。
海の中に長いこと存在していると、
情報だけでなく、付着物が付く可能性もあります。
こちらのアルゴモルフには、全体にびっしりと付着物が付いていました。
まずは、18世紀の博物画家ルイ・ルナールの魚類図などをデータセット化。
そのデータをもとに、AIで“存在しない生物”の画像を生成させました。
それらの画像をサイアノタイプ(青写真)でパネルに焼き付けたのが、この作品です。
どれも“存在しない”はずなのに、まるで昔の博物図鑑には掲載されていたような。
これまた謎の説得力がある作品でした。
今回紹介されていた彼女らの作品の中で、
特に印象に残っているのが、《自己完結モデル》です。
アーティストのお二人曰く、
遺伝子の構造とデジタルデータのコードはよく似ているそう。
そこで、類似する生物の映像素材を集め、
一つのイメージに別イメージを次々と付け足していき、
実際には存在しない新しい姿を生み出そうと考えたそうです。
いうなれば、デジタルイメージ版の遺伝子組み換え実験でしょうか。
・・・・・知らんけど。
なお、そのすぐ隣に置かれていたのは、
遺伝子の構造を模した金属製の造形物です。
その中央部分をよく見ると、金属のカプセルがあります。
造形物は、このカプセルを守るためのもの。
カプセルには、作品のシステムデータを保存したDNAが内蔵されているそうです。
データなんて、コンピューターに保存、
もしくは、USBやCDにでも保存すればいいのでは?
と思ったら、アーティストの説明によれば、
そういった保存は意外と寿命が短いのだそうです。
しかし、DNAで保存した場合、超長期的に保存することが可能なのだとか。
近年、AIを使ってビジュアルやシステムを制作するアーティストは増えていますが。
その保存の方法にまで考えを及ばせたアーティストはそういないような気がします。
AIや生物学の知識がないため、正直に言って、
ほとんど・・・いや、2%ほどしか理解できなかったですが(笑)
AIを用いたアートの最前線を目の当たりにし、刺激になりました。










