エスパス ルイ・ヴィトン東京で開催中の展覧会、
“ANDY WARHOL SERIAL PORTRAITS”に行ってきました。
言わずと知れた20世紀美術界のスーパースター、アンディ・ウォーホル。
彼はその生涯で膨大な数の作品を制作しましたが、
本展は「ポートレイト」に絞って紹介するものです。
まず冒頭で紹介されていたのは、
1960年代に制作されたという《Self-Portrait》。
タモさんみたいなサングラスをかけているのは、若き日のウォーホル本人。
作品の下のほうをよく見ると、少しだけ頭が見切れているのがわかります。
実はこちらの作品は、照明写真機で撮影した写真をもとにしたもの。
その写真をシルクスクリーンでキャンバスに写しています。
続いて紹介されていたのは、その約10年後に制作された《Self-Portrait》。
この頃のウォーホルは人気絶頂期ゆえ、
セルフポートレートのオファーが殺到していたそう。
それに応えるべく、セルフポートレートを大量に制作していたようです。
なお、当時ウォーホルはシミをコンプレックスに思っていたそうで、
この頃に制作されたポートレートでは、巧妙にシミを消しているのだとか。
ウォーホルはレタッチも得意だったのですね。
自身をモデルにしたシルクスクリーン作品には、このようなものも↓
1981年に発表された「MYTHS(神話)」シリーズのうちの1枚です。
シリーズでは、ミッキーマウスやスーパーマン、
サンタクロースやドラキュラといった架空のキャラクターがモデルとなっています。
本作には、20世紀のアメリカで人気だったキャラクター、
「ザ・シャドー」のタイトルが付けられているのですが、
シリーズのうち1点だけ、なぜかウォーホル自身がモデルを務めているそう。
ウォーホルのファンにとっては嬉しいですが、
「ザ・シャドー」のファンにとっては、コレジャナイ感は拭えません。
さて、本展ではシルクスクリーンだけでなく、
ウォーホルのポートレート写真も紹介されています。
例えば、こちらのポラロイド写真。
1970年から80年代にかけて撮影されたもので、
基本的にどれも彼の代名詞といえる銀髪のウィッグを着用しています。
あえてインパクトのある見た目をして、キャラ付けする。
ウォーホルがとったこの戦略は、
現代のユーチューバーに通ずるものがあります。
改めてセルフプロデュースに長けた人物であったことを実感させられました。
また、それらのポラロイド写真と併せて紹介されていたのが、
写真家のクリストファー・マコスとのコラボで制作されたポラロイド写真シリーズ。
その名も、《Self-Portraits in Drag》です。
ドラァグ。
つまり、女装したウォーホルを撮影したシリーズです。
すべて異なるウィッグを用い、10パターンの女装に挑んでいました。
ウィッグとメイクを変えるだけで、まるで別人のよう。
ウォーホルに森村泰昌さんのような才能もあったとは驚きです。
そうした作り込まれたポートレートとは対照的に、
プライベートを映したポートレートも紹介されていました。
その中で特に気になったのが、こちらの1枚。
添えられたキャプションには、
《デヴィッド・ホックニーと2名の身元不明の男性》とありました。
身元不明って・・・。
そんな事件性のある感じで書かなくても。。。
さてさて、本展ではウォーホル自身だけでなく、
特定のモデルを描いたポートレートも紹介されていました。
それらの中には、《Ten Portraits of Jews of the Twentieth Century》というシリーズも。
モデルとなっているのは、アインシュタインやフロイト、
カフカやガーシュウィン、サラ・ベルナールらユダヤ系の偉人たち。
ウォーホルは普段、報道写真や自身で撮影した写真をもとに制作していましたが、
この作品では珍しく、資料として残されていた肖像写真をもとに制作したそうです。
ウォーホルの作品の中でも異色の作品といえましょう。
無料の展覧会ということで、
ウォーホルの作品が数点ほどあるだけかと思いきや。
展示壁もこだわって作られており、
期待以上に見ごたえのある展覧会でした。
表参道を訪れた際には、是非とも訪れるべき展覧会です。


ちなみに。
本展のラストに展示されていたのは、
ロバート・メイプルソープによって撮影された、
晩年近くのウォーホルのポートレートです。
そこに映し出されていたのは、
どこか弱弱しさのあるウォーホルでした。
セレブとして毎晩豪遊していたとは、とても思えない雰囲気。
孤独な空気を漂わせた男性が、うつろな目でこちらを見つめています。
思わず「諸行無常」や「盛者必衰」という四字熟語が頭に浮かびました。
















