石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 安井曾太郎 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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現在、アーティゾン美術館では、

“ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山城知佳子×志賀理江子 漂着”が絶賛開催中。

いい意味で、アーティゾン美術館らしくない展覧会に仕上がっています。

それゆえ、ブリヂストン美術館時代からのファンは戸惑ってしまうかもしれません。

しかし、どうぞご安心を。

 

 

 

4階展示室では、“石橋財団コレクション選”が開催されており、

コレクションの中から選りすぐられた作品の数々を観ることができます。

星星

 

それらの中には、ブリヂストン美術館時代からのアイドル、

ルノワールによる《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》や、

 

 

 

これほどの名品が国内にあるのは奇跡とも称される、

セザンヌの《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》も。

 

 

 

他にも、モネやマネ、ミレーにピカソなど、

西洋絵画の巨匠の名品が数多く取り揃えられており、

ジャム・セッションで摂取できなかった(?)西洋美術を存分に堪能することができます。

 

ちなみに。

ブリヂストン美術館時代からの名品だけでなく、

アーティゾン美術館になってから新収蔵した作品も紹介されていました。

その1つが、ジャスパー・ジョーンズの《薄雪》(写真右)

 

 

 

日本をたびたび訪れていたジョーンズが、

歌舞伎の演目『新薄雪物語』の「薄雪」という言葉に惹かれ、

1979年から2004年にかけて長年制作し続けたというシリーズです。

本作は1982年に制作されたシリーズ初期の大作。

カラフルで動きも感じられて、「薄雪」というよりは「花火」を想起させられました。

 

なお、コレクションに新たに加わった作品といえば、

美術館の屋外に、レイチェル・ホワイトリードによる新作の彫刻、

《Artizon Conversations》が今年8月に設置されたばかり!

 

 

 

日本国内で採取された希少な大理石を素材とした作品で、

椅子の座面と脚の間にある空間を型取りして制作されたもの。

椅子をモチーフにしているだけに、作品には実際に座ることも可能です。

 

 

 

ただ、いざ座ってみると、館内のカフェにいる人と目が合いがち。

その気まずさも、もしかしたらアートの一部なのかもしれません。

 

 

さてさて、現在の“石橋財団コレクション選”では、

特集コーナー展示として“安井曾太郎”も開催されています。

 

 

 

初期はバルビゾン派を彷彿とさせる、

いかにもな風景画を描いていた安井ですが。

 

 

 

19歳でパリに留学した際に、セザンヌの作品に出逢い、大きな衝撃を受けます。

セザンヌに傾倒し、明らかにセザンヌの影響を受けた絵を描くように。

 

 

 

なお、安井が得意とした肖像画においても、

やはりセザンヌの影響が色濃く見て取れます。

例えば、こちらの《F夫人像》

 

 

 

顔と足は斜めを向いているものの、上半身は正面を向いています。

空間も斜めから見たかのような不思議なアングルとなっていますね。

つまり、セザンヌのように、複数の視点が組み合わされているというわけです。

また、モデルを忠実に描くのではなく、適度なデフォルメが施されています。

こうした独特のスタイルは、「安井様式」と呼ばれていますが、

そんな「安井様式」を確立した記念碑的な作品とされるのが、《座像》

アーティゾン美術館のコレクションに近年加わったばかりの逸品です。

 

 

 

ちょっと不自然なくらいに目を見開いているこの女性は、

乃木将軍こと乃木希典の姪の娘に当たる人物なのだそう。

この絵を完成させるまでに、安井は6か月もデフォルメを調整し続けたとか。

まさに渾身の作品です。

 

なお、数ある安井による肖像画の中で、

個人的にもっとも印象に残っているのが、《玉蟲先生像》

 

 

 

描かれているのは、仙台の旧制第二高等学校校長だった人物です。

キャプションに記載されたその名前を、思わず二度見してしまいました。

 

玉蟲一郎一

 

「いちろういち」さんだそうです。

山本山みたいな名前ですね。

 

とそれはさておき。

特集コーナーでは安肖像画だけでなく、

安井による風景画や静物画も紹介されています。

 

 

 

また、安井が初めて版画に挑戦したという版画集も。

限定100部の貴重な『安井曾太郎版画集』です。

 

 

 

さらに珍しいところでは、こんなものも。

 

 

 

これらの絵はすべて、『文藝春秋』の表紙のために描かれたものです。

まだ文春砲と呼ばれていない頃の『文藝春秋』。

芸能人に恐れられていない頃の『文藝春秋』です。

 

 

 

 

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