クリスチャン・ディオールに、カルティエに、グッチに。
海外のラグジュアリーブランドによる大型展が、
ここ近年、日本でよく開催されている印象がありますが。
今年の芸術の秋は、国立新美術館にて、
ローマのハイジュエラー「ブルガリ」の日本では10年ぶり、
過去最大規模となる展覧会が開催されています。
その名も、“ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧”です。
タイトルにある「カレイドス」とは、
「美しい」を意味するギリシャ語の「カロス (kalos)」と、
「形態」を意味する「エイドス (eidos)」を組み合わせた言葉とのこと。
本展は『美しい色』をテーマに、ブルガリ・ヘリテージ・コレクションと、
貴重な個人コレクションから選び抜かれた約350点のジュエリーを紹介するものです。
ラグジュアリーブランドに疎い僕が観ても、
どれもため息が出るほどに美しいと感じられました。
まさに、眼福。
人々がブルガリのジュエリーに魅了されるのも納得です。
ブルガリのジュエリーが素敵であることのは、
言わずとも伝わると思うので、これくらいにしまして。
本展に関して、個人的にまず驚いたのは、展示ケースです。
例えば、こちらの古代ローマ神殿のファサードの形をした《「テンプル」ペーパーウェイト》。
一般的な展覧会であれば、ガラスケース内に、
白い布かなんかの上でディスプレイされていることでしょう。
しかし、超一流のブルガリは、木目が美しい特注の什器でディスプレイ。
さらに、その展示台にもご注目!
なんと大理石で作られていました。
1つのアイテムを展示するためだけに、
これほどお金と手間がかかる展示ケースを作ってしまうだなんて!
ラグジュアリーにもほどがあります。
しかも、ブルガリのジュエリーや、
特注の展示ケースに目を奪われ、一瞬気が付きませんでしたが、
冷静になってみると、いつもと歩き心地が違うのに気が付きました。
通常の国立新美術館の床は木製ですが、
本展はすべての展示室が特注のカーペットで覆われています。
歩き心地もラグジュアリー!
おかげでどれだけ歩き回っても、そこまで疲れることはありませんでした。
と、展示ケースに続いて、床にも驚きましたが、
それ以上に驚かされたのはやはり、斬新すぎる会場デザイン。
妹島和世さんと西沢立衛さんによる世界的建築家ユニット「SANAA」と、
イタリアのデザインユニット「フォルマファンタズマ」が協働して担当したそうで。
曲面の壁が複雑に組み合わさった独創的な展示空間は、
ローマ皇帝カラカラが造営した浴場のモザイク画のパターンと、
東京都の木であるイチョウからインスピレーションを得たものなのだとか。
展示空間は複雑ではありましたが、それがストレスになることは決してなく。
むしろ、ちょっと迷いながら進む感じにワクワクさせられました。


ただ、鑑賞者にとっては嬉しい限りですが、
掃除をする人にとっては、ちょっと不便はあるかも。
ルンバが入れなさそうなデッドスペースを、
会場のあちらこちらで、見かけてしまいました(笑)。
ちなみに。
本展には、ブルガリのジュエリーだけでなく、
3名の女性アーティストによる新作も展示されています。
1人目は、イタリア出身のララ・ファヴァレット。
巨大な色とりどりのモフモフしたものが高速で回転したり、止まったり。
“ガソリンスタンドにある洗車機みたいだなぁ”と思ったら、
本当に洗車ブラシを使って構成されたインスタレーション作品でした。
シンプルながら不思議と観入ってしまいますが、
繊維が飛び交っているので、それには要注意です。
続いて新作を発表していたのは、森万里子さん。
森さんといえば、来年、森美術館にて大規模な個展が控えています。
その前哨戦といったところでしょうか。
なお、下のフロアで開催中の“時代のプリズム”にも、
森さんの初期の映像作品が出展されていましたっけ。
今、六本木界隈でもっともキてるアーティスト、それが森万里子さんです。
展覧会のラストを飾るのは、中山晃子さんによる《Echo》。
パッと見、チームラボ的な感じかと思いきや。
空間の中央には何やら、見慣れない機材がありました。
覗き込んでみると、台にシャーレが埋め込まれており、
その中には、水と鉱物顔料が混ざ合わされた特殊な溶液が入っています。
音の振動を与えることで、溶液が流動的に動き、
その様子がリアルタイムでスクリーンに映し出されているようです。
なお、この作品は同じ空間内に展示されている、
ブルガリのマスターピースの中でも特に色彩豊かな、
《コンバーチブル・ソートワール=ブレスレット》をオマージュしているそう。
展覧会の冒頭から最後まで、
驚きと感動の絶えない展覧会でした。
ブルガリの1つでも買いたくなりましたが、
財力が伴わないので、諦めることにしました。

















