絵本の夏、板橋の夏。
今年も板橋区立美術館では、毎年恒例の、
“イタリア・ボローニャ国際絵本原画展”が開催されています。
イタリア・ボローニャ国際絵本原画展は、
イタリア・ボローニャのブックフェアが主催する、
絵本作家の登竜門ともいうべき絵本原画の国際コンクール。
子どもの本のために描かれたものであれば、
ベテランも新人も関係なく、誰でも応募可能となっています。
間もなく還暦(?)の60回を控えた59回目の今回には、
昨年の応募数3520名から大幅増となる4374名がエントリー!
過去最多となる激戦を勝ち抜き、29の国と地域の76組が入選しました。
本展では、その入選作すべてが展示されています。
なお、入選作のうちすでに絵本になっているものは、
会場内で実際に手に取って楽しめるようになっています。
つい、「原画>印刷物」と思いがちですが、
印刷物は印刷物ならではの良さがあるもの。
原画と印刷されたものとを見比べて楽しめるのが、
イタリア・ボローニャ国際絵本原画展の魅力の一つです。

さて、今年の絵本原画展で特に印象的だったのは、
イタリアのベアトリーチェ・トネッリの『カッコウ』しかり、
フランスのフロリアン・ビジェの『白夜』しかり、
ちょっと不気味なテイストの絵本が、入選作の中で目立っていたこと。
日本では今、インディーズゲーム『8番出口』や、
小説の『変な家』や『近畿地方のある場所について』など、
不穏系ホラーがじわじわとムーブメントとなっています。
それと同じような現象が今、世界中で同時多発的に起こっているのかも。
もし、そうだとしたら、それが一番のホラーである気がします。
不穏系ホラーな風味の作品は他にも。
例えば、こちらは韓国のアン・キョンミによる『仮面の夜』です。
鏡に映っていたのは、さまざまなタイプの仮面。
無表情を通り越して、虚無感のようなものが漂っています。
大人の自分が観ても、軽くゾワっとしました。
子どもの時にこのビジュアルを観ていたら、軽くトラウマになっていたことでしょう。
仮面といえば、イタリアのジュリオ・ノッチェージの『ごっこあそび』も。
顔自体はそこまで怖くないのですが。
何の動物かよくわからないヤツがかぶっていること。
それに加えて、そいつらが日常生活を送っていること。
そのどこか淡々とした雰囲気もあいまって、絶妙に不穏感が漂っていました。
この謎の生物たちが、もともといた人間に成り代わって、生活をしているのかも。
しかも、周囲の人間はそれに気づいていなかったりして。
想像すれば想像するだけ、不気味でした。
こちらもまた、子どもの時に出逢わなくて良かったと思える絵本です(←?)。
ちなみに。
入選作の中には、違った角度で怖さを紹介するものもありました。
ドイツのパウリーナ・ラウによる『このくみあわせ、だいじょうぶ?』です。
「ゾウとアンティーク陶器」とか、
「自転車に乗る人と画びょう」とか。
このあと怖いことになりそうな状況の数々を紹介する作品です。
なお、右下に展示されていたのは、「はだしとレゴブロック」という組み合わせ。
想像するだけで、絶対痛いです。
はだしでブロックを踏んずけてしまうというのは、世界共通のあるあるなのですね。
さて、イタリア・ボローニャ国際絵本原画展は、
もちろんホラージャンル限定のコンペではありません。
ほっこり可愛らしい作風のものも数多く入選していました。
それらの中でもとりわけお気に入りなのは、
韓国のオ・ダラによる『みにくいジャガイモ』という作品。
タイトルに“みにくい”とありますが、
描かれているジャガイモとたちは皆一様に可愛かったです。
ルッキズムの時代に一石を投じるような作品ではないので、
そういう界隈に敏感な方もどうぞ、ご安心してお楽しみくださいませ。
さて、もちろん原画の可愛さもさることながら、
個人的に印象に残っているのが、本の装丁です。
ジャガイモを主人公にした絵本ということで・・・・・
ポテトチップスの袋をイメージしたものとなっていました。
なお、写真では上手く伝わりませんが、
実際のポテトチップスの袋と同じように、
表面がキラキラとしたテクスチャーになっています。
思わずジャケ買いしたくなる一冊でした。
















