世界でも珍しい完全地下美術館。
それが、国立国際美術館です。
地上に見えているのは、ほぼ金属製のオブジェだけ。
実はその下に、3層分の建物が埋まっています。
なお、この斬新なスタイルの美術館は、
2004年に移転、リニューアルオープンしてからの2代目。
初代は、前回の万博の際に設計された万国博美術館を活用したものでした。
館内には、陶板640枚で構成された、
ジョアン・ミロの《無垢の笑い》という作品がありますが。
こちらももともとは、ミロが万博のために日本で制作したもので、
1977年の美術館開館時から、同館の顔として人気を博しています。
なお、その手前に吊るされたカルダーの作品は、
開館の翌年に、美術館によって購入されたものとのこと。
開館当初、コレクションは10数点ほどしかありませんでしたが、
その後の収集や寄贈によって、現在は約8200点にも及ぶとか。
そんな国立国際美術館では現在、コレクション展として、
“コレクション2 Undo, Redo わたしは解く、やり直す”が開催されています。
本展のタイトル“I Do, I Undo, I Redo”とは、
2000年にルイーズ・ブルジョワがテート・モダンで発表した作品、
《I Do, I Undo, I Redo》にちなんだものだそうです。
「Undo」には、元に戻す、ほどく、破壊する。
「Redo」には再び行う、やり直す、編集する、という意味があるそうです。
コレクションに含まれていないので、その作品は出展されていないですが、
代わりに、2023年度にコレクションに加わった《カップル》が出展されています。
こちらは、日本の国公立美術館としては、
初にして現段階で唯一のブルジョワ作品です。
また、同じく2023年度に新規収蔵品となった、
レオノール・アントゥネスの《道子#6》も併せて出展中。
レオノール・アントゥネスは、リスボン生まれ、
現在はベルリンを拠点に活躍するアーティスト。
彼女は20世紀に、男性中心の制作現場で活躍した、
女性の建築家やデザイナーの活動や仕事をリサーチし、
それにインスパイアされた作品を制作し続けています。
《道子#6》は、夫とともにバウハウスに入学し、
テキスタイルデザインを学んだ山脇道子の作品にインスパイアされたもの。
山脇がデザインした絨毯の原画をもとに、
素材を真鍮に置き換えて、再構成した作品です。
さらに、本展では昨年2024年度に収蔵されたばかり、
今回国内初公開となるルース・アサワの作品も展示されています。
ルース・アサワは、カリフォルニア生まれの日系二世のアーティスト。
複雑で繊細にして、ダイナミック。
そんな唯一無二のワイヤー彫刻が彼女の代名詞です。
日本ではほぼ無名ながら、アメリカでは知られた存在。
この作品が収蔵されたのをきっかけに、
今後、日本で注目が高まっていくかもしれません!
さて、本展の目的は、決して新収蔵品のお披露目だけではありません。
“わたしは解く、やり直す”をキーワードに、
同館のコレクションの中から、塩田千春さんの作品や、
草間彌生さん、石内都さん、片山真理さんらの作品が紹介されています。
もちろん、女性アーティスト限定ではなく、
横尾忠則さんや加藤泉さんらの作品も紹介されていました。
出展作の中で個人的に最も印象に残ったのは、
富山県出身の美術家で1960年代にコラージュ作品で一世を風靡した、
モノマネ芸人じゃないほうの清水晃さんによる『目沼』という作品集です。
コラージュ作品の多くは、作者が幼い頃の原体験がもとになっているそう。
どの作品も強烈なインパクトがありました。
とりわけインパクトが強かったのは、「雙六行」と名付けられた1枚。
親蛙の背中に子蛙を乗せて、
そのまた背中に孫蛙乗せて、
そのまた背中に曾孫蛙を乗せて・・・
って、冷静に考えたら、蛙の子どもはオタマジャクシですね。
ありそうでなかったビジュアルです。
それからもう一つ印象に残っているのが、
福田美蘭さんによる《緑の巨人》という作品。
タイトルの《緑の巨人》とは、
懐かしのCMのあの緑の巨人のことだったのですね!
ジャイアントな彼の姿が目に飛び込んできた瞬間、
「ホゥホゥホゥ」という声が聴こえてきた気がしました。
そういえば、彼は今、どこに行ってしまったのでしょうか?
若い世代の人は、おそらくこの作品を観ても、元ネタがわからないことでしょう。
ジェネレーションギャップを感じずにはいられない作品です。














