国立工芸館 外観
東京国立近代美術館工芸館改め、
国立工芸館が金沢に移転して、今年で5年目。
それを記念して、今年1年をかけて、
さまざまな移転開館5周年記念が予定されています。
そのトップバッターを飾るのが、現在開催中の“花と暮らす展”です。
こちらは、4000点を超える国立工芸館のコレクションから、
花をモチーフとした作品、あるいは花を飾るための作品を紹介する展覧会。
なお、身近な自然をより実感できるよう、本展の会期に合わせ、
春から夏にかけて咲く花をモチーフにした作品が選ばれています。
メインビジュアルの一つに採用されている、
十三代今泉今右衛門(善詔)の《色鍋島薄墨石竹文鉢》をはじめ、
十三代今泉今右衛門(善詔)《色鍋島薄墨石竹文鉢》 1982年 国立工芸館蔵
菖蒲をモチーフにした初代宮川香山の作品や、
本展で初公開される板谷波山による紫陽花をモチーフにした作品、
展示風景 左)初代宮川香山《色入菖蒲図花瓶》 1897~1912年頃 国立工芸館蔵
さらには、椿をモチーフにした北大路魯山人らの作品など、
左)田村耕一《白泥椿文壺》 1969年 中)北大路魯山人《紅白椿鉢》 1938~40年頃
右)望月集《花文大鉢「椿」》 2021年 いずれも国立工芸館蔵
多彩なジャンル、作風の作品が約100点も紹介されています。
まさに百花繚乱!
普段に輪をかけて、華やかな空間となっています。


ちなみに。
華やかさをより演出するべく、
会場のいたるところに花が咲いていました(貼ってありました?)。
ちなみに。
本展には、芹沢銈介による《紬地型絵染華字文のれん》も展示されています。
“華”を意識せずにはいられませんでした。
芹沢銈介《紬地型絵染華字文のれん》 1960年 国立工芸館蔵
そうそう、華と言えば、こんな作品も。
左)黒澤千春《屏風 華のきらめき》 1988年
右)黒澤千春《彩漆裂罅箔屏風 華の舞》 1991年 ともに国立工芸館蔵
黒澤千春による《屏風 華のきらめき》、
《彩漆裂罅箔屏風 華の舞》という作品です。
どちらもタイトルに“華”があります。
どこかジャクソン・ポロックを思わせる抽象画です。
・・・いや、でも、冷静に考えて、ここは国立工芸館。
普通の抽象画が展示されているわけはありません。
そう思い、キャプションに目をやると、漆と表記されていました。
漆でこんなにもアグレッシブな表現をされていた作家がいたのですね。
この作品に出逢えただけでも、展覧会を訪れた甲斐がありました。
他にも、舞い散る桜が周囲に見えるような川上南甫の《春燈彩影》や、
川上南甫《春燈彩影》 1965年頃 国立工芸館蔵
作品以上に、落とす影が美しい藤井達吉の《電気スタンド》など、
藤井達吉《電気スタンド》 1916~23年頃 国立工芸館蔵
掘り出し物の作品とたくさん出会えましたが、
個人的にお気に入りなのは、井戸川豊さんの《銀泥彩磁鉢》です。
井戸川豊《銀泥彩磁鉢》 2015年 国立工芸館蔵
食材の中でも脇役も脇役のカイワレがモチーフ。
センターや側面に描かれているだけでなく、
器全体を覆う線彫りもカイワレから着想を得ているのだとか。
これほどまでにカイワレがフィーチャーされるのは、
病原性大腸菌O‐157のあの一件以来ではないでしょうか。
さて、本展では、日本の作家の作品以外にも、
海外の作家による作品も数多く紹介されています。
中には、ラリックやガレ、ドーム兄弟やルーシー・リーの作品もありました。
左から ルネ・ラリック《雄鶏と羽根文花瓶》 1928年 ルーシー・リー《スパイラル文花瓶》 1980年頃
エミール・ガレ《藤文花瓶》 1900~04年頃 ドーム兄弟《チューリップ文花瓶》 1898年
いずれも国立工芸館蔵
また、5周年を記念して特別に出品されているのが、
国立西洋美術館が所蔵するモーリス・ドニの2点の絵画。
どちらも、花と暮らす光景が描かれた絵画です。
(注:こちらの2点の絵画の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
左)《花束を飾った食卓(マルト・ドニと二人の娘ベルナデット、アンヌ=マリー)》
国立西洋美術館蔵 ドミニク・モーリス・ドニ氏より寄贈
右)《ハリエニシダ》 国立西洋美術館蔵 松方コレクション いずれもモーリス・ドニ
なお、紹介されていた海外作家の作品には、このようなものも。
リヒャルト・リーマーシュミット《パンチボウル》 1900年頃 国立工芸館蔵
ドイツのデザイナー、リヒャルト・リーマーシュミットによる《パンチボウル》です。
サイズ感といい、形状といい、
一瞬、100円を入れたらおみくじが出てくるヤツかと思いました。
かつて喫茶店やファミレスのテーブルの上に置かれていたような。
ちなみに。
“花と暮らす展”の開催に合わせて、
テーマ展示“本と暮らす”も同時開催されています。
本をモチーフにした作品を紹介する展覧会・・・ではなく。
日本のグラフィックデザインの先駆者、杉浦非水の旧蔵本の一部を紹介するものです。
杉浦非水は一体どんな図鑑や写真集を読んでいたのか。
そして、どのようにして、それを「図案化」していったのか。
そのプロセスを知ることができる展示です。
インプットなくして、アウトプットなし。
本の大切さも知ることができる展示でした。















