VOCA展実行委員会に依頼された学芸員や研究者らが、
平面美術の領域で国際的にも通用すると思う40才以下の作家を推薦し、
その作家たちによる平面作品で、その優劣を競うガチンコバトル。
それが、“VOCA展”。
今年も上野の森美術館で開催中です。
これまでにVOCA展に選出された経験のある作家の中には、
村上隆さんや奈良美智さん、蜷川実花さん、山口晃さん、福田美蘭さんなど、
現在の日本の美術シーンの第一線で活躍する方たちが名を連ねています。
そう、VOCA展は日本の若手作家の登竜門と言っても過言ではないのです。
なお、平面作品の戦いとは言うものの、
250cm×400cm以内のサイズであれば、何でもOK。
絵画や版画、写真に限らず、映像作品も出展できます。
また、出品規定によれば、“厚さは、壁から20㎝以内”とのこと。
つまり、20cm以内の薄型立体作品も出展OK!
要するに、わりと何でもありな公募展です(笑)。
例年VOCA展では、30組(人)前後の作家が選出されますが、
今回からその数を減らしたそうで、出展作家は過去最少となる23組(人)に。
狭き門がさらに、狭き門になりました。
なお、それだけに、これまでに展示されていた場所に、
作品が飾られておらず、スッキリとした印象を受けました。
さて、32回目となる今回、VOCA賞を受賞したのは宮本華子さん。
タイトルは、《在る家の日常》。
家をかたどったカラフルなパネルで構成された作品です。
その作品のあちこちには、一般的なご家庭にありそうなものが溢れています。
さらに、フェルメールの《牛乳を注ぐ女》も飾られていました。
これは、上野の森美術館でかつて開催された、
“フェルメール展”をオマージュしているのでしょうか。
と、パッと見はポップな作品に感じられますが、
宮本さんが長年一緒に家で暮らしてきた祖父母と、
別れることとなった悲しい経験を作品にしたものなのだそう。
作品内にある計5台のモニターでは、
訪問介護を体験する彼女自身の映像が再生されています。
なお、5台あるモニターで流れているのはすべて同じ映像。
それぞれ時間をズラし、ループ再生しています。
再生時間の長い映像作品を、全部観るのは面倒くさい。
でも、他にどんなシーンがあるのか知りたい。
そんなジレンマを解決するグッドアイデアです。
そのアイデアだけが評価されたというわけではないでしょうが、
映像を使った作品が、VOCA賞を受賞したのは今回が初めてなのだとか。
VOCA展の歴史に名を刻む作品といえましょう。
ちなみに、宮本さんは2020年のVOCA展にも選出され、佳作賞を受賞しています。
5年越しのリベンジも併せて、VOCA賞の受賞おめでとうございます!
続いてVOCA奨励賞を受賞したのも、モニターを使った映像作品。
諫山元貴さんによる《Objects#21》です。
ミロのヴィーナスやマーライオン、古代の壺など、
さまざまなオブジェが水中で壊れていく様子が映し出されています。
完全に崩壊すると、また元の姿に。
その一連が淡々とループ再生されています。
映像版の宮島達男さん、といった印象を受けました。
VOCA奨励賞受賞したのは、もう一人。
小林万里子さんの《The Five Domains》です。
小林さんは一貫して、自ら染めた布や糸を素材に、
織りや刺繍といった手法を組み合わせて制作しているそう。
正直に言うと、離れた状態で目に飛び込んできた瞬間は、
鴻池朋子さんが頭をよぎってしまい、よくある作風だなァと思ってしまいました。
しかし、近づいてマジマジと観てみると、
その執拗なほどの圧倒的手仕事感に、ガツンと殴りつけられた感覚に。
まったくもって、“よくある作風”ではありませんでした。
ちなみに。
VOCAの佳作賞は、分割されたキャンバスが特徴的な鮫島ゆいさんの作品と、
理想のイケメンをレリーフで作り続ける吉田芙希子さんがそれぞれ受賞。
大原美術館賞は、髙木優希さんの《Room》が受賞しています。
個人的には、今回のVOCA展では、
こちらの髙木優希さんの作品がもっとも印象に残りました。
モチーフとなっているのは、誰かが実際に住んでいる部屋。
その写真をもとに、髙木さんは部屋のマケットを作ります。
そうして完成した真っ白なマケットに照明を当て、
写真を撮影し、それをもとに油彩画で描いたのがこの作品です。
・・・・・いや、何度手間なん?!
一見すると、クールでスタイリッシュな作風のように思えますが、
その制作工程を知った上で観てみると、小林さん並の執拗な手仕事感を感じました。
観れば観るほど、いろんなことを考えたくなる作品です。
なお、髙木さんは、自分の部屋の写真を提供してくれる人をネットで募集しているのだそう。
そういう意味では、こちらもまたモニターを使った作品です。















