西洋絵画、どこから見るか?―ルネサンスから印象派まで | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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現在、国立西洋美術館で開催されているのは、

“西洋絵画、どこから見るか?―ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 vs 国立西洋美術館

通称、“どこみる展”。

アメリカのサンディエゴ美術館と上野の国立西洋美術館、

両館のコレクションから選りすぐりの名品の数々を紹介する展覧会です。

 

 

 

展示はルネサンスに始まり、バロック、18、19世紀まで、

約600年の西洋絵画の歴史が辿れる内容となっています。

そんな「This is 西洋美術展」というべき、

王道中の王道のラインナップを取り揃えながらも、

美術ガチ勢だけでなく、美術ビギナー向けでもあるのが、本展の最大の特徴。

本展では、“西洋絵画ってどう見たらいいの?”という人のために、

どこからどのように見ると楽しめるか、鑑賞のヒントが用意されています。

具体的には、両館のコレクションをただ並べるのではなく、

同じ題材や同じ作家、関連性のあるもの同士をペアや小グループで展示。

全ての作品が見比べる形式で鑑賞できるようになっています。

 

 

 

それゆえ、“同じ題材でも作家によって表現が違うなァ”とか、

“なるほど~、この画家はなんとなくこんなテイストなんだ”とか、

気づけば、いろいろ考えながら鑑賞している自分がいました。

 

 

 

王道にして入門編。

ありそうでなかった、そして、こういうの待ってた…な展覧会です。

星星星

 

さて、出展作品は計88点。

うち49点が、サンディエゴ美術館の所蔵品です。

なお、その49点すべてが初来日とのこと。

どれも見ごたえがありましたが、

やはりとりわけ素晴らしかったのが、スペイン絵画の数々です。

というのも、美術館のあるカリフォルニア州サンディエゴは、

18世紀にスペイン人が入植したことがきっかけで誕生した街。

そういった歴史的背景から、サンディエゴ美術館は、

スペイン絵画をコレクション収集の中心にしてきました。

本展には、それらから選りすぐられた名品たちが来日しています。

中でも見逃せないのが、17世紀の画家フアン・サンチェス・コターンによる静物画。

《マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物》です。

 

フアン・サンチェス・コターン《マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物》 1602年頃、油彩/カンヴァス、
サンディエゴ美術館 ©The San Diego Museum of Art

 

 

あまり日本では耳慣れない画家ですが、

作者のコターンは「ボデゴン(=スペイン特有の静物画)の先駆者」とされています。

あのベラスケスをはじめ、のちのスペインの画家に大きな影響を与えましたが、

彼自身は若くして修道院に入ったため、肝心のボデゴンは6点しか現存していないとか。

その中でも最高傑作と評されるのが、この作品なのです。

 

とは言ったものの、正直にカミングアウトしますと、

展覧会を訪れるまでは、“普通の静物画じゃない?”と思っていましたし、

“何でこれが展覧会のメインビジュアルの一つなの??”とも思っていました。

しかし、作品の前に立った瞬間、思わず鳥肌が立ちました。

その感動は、フェルメールや伊藤若冲の作品を初めて観た時に匹敵するほど!

マルメロもキャベツもメロンもキュウリも、どれも秀逸なのですが、

それ以上に、目と心を鷲掴みにされたのが、その奥にある黒の画面。

一見すると何も描かれていないように見えます。

実際、黒一色で何かが描いてあるわけではないのですが、

作品の前に立つと、そこに深い奥行きが感じられるのです。

あまりに奥行きが深すぎて、まるでその先が宇宙と繋がっているように感じられました。

静物画を観て、宇宙を感じたのは、後にも先にも、

《マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物》だけでしょう。

皆さまも騙されたと思って、是非ご覧いただきたいです。

 

なお、この絵の隣に展示されていたのは、

フランシスコ・デ・スルバランによる《神の仔羊》

 

フランシスコ・デ・スルバラン《神の仔羊》 1635―40年頃、油彩/カンヴァス、
サンディエゴ美術館 ©The San Diego Museum of Art

 

 

4本の脚は縛られていますし、

頭上には、いわゆる天使の輪が浮かんでいますし、

この仔羊は生贄とされてしまったことは明白なのですが。

あまりにも見事なもふもふ感のため、

「可哀そう!」よりも、「カワイイ!」が勝っていました(笑)

 

ちなみに。

本展では、スペインの絵画だけでなく、

17世紀のスペインの彩色彫刻も来日しています。

 

 

 

当たり前ですが、どちらも立派な出来栄えです。

どうかスペインのおばあちゃんに勝手に修復されませんように。

 

と、ここまでスペイン美術を中心に紹介しましたが、

ルネサンスやフランス、オランダの絵画ももちろん、銘品揃い。

見どころだらけで、まさに“どこから見るか?”です。

 

 

 

さらに、本展を観終えたら、常設展もお見逃しなく!

 

 

 

本展に常設作品がいくつも出展されているため、

常設展がいつもの常設展とは違う内容となっています。

さらに、サンディエゴ美術館からの追加出品作品5点も展示。

 

 

 

今回ばかりは常設展を見逃すと後悔しますよ、マジで。

 

 

 ┃会期:2025年3月11日(火)~6月8日(日)

 ┃会場:国立西洋美術館
 ┃https://art.nikkei.com/dokomiru/

 

 

 

 

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