真言宗大覚寺派の本山、大覚寺。
(正式名は、旧嵯峨御所大覚寺門跡)
その開創1150年を記念して現在、東京国立博物館の平成館では
“特別展「旧嵯峨御所 大覚寺―百花繚乱 御所ゆかりの絵画―」”が開催されています。
(注:展示室内は一部撮影可。写真撮影は、特別に許可を得ております。)
本展の見どころの一つといえるのが、
重要文化財に指定されている明円作《五大明王像》。
平安時代後期の仏像の最高傑作との呼び声が高い名品です。
その《五大明王像》が初めて5体揃って東京で公開されています。
一般的な寺宝展のセオリー通りで行けば、
仏像は展覧会のラストを飾る大トリで展示されがちですが。
本展ではなんと第1章に《五大明王像》が展示されていました。
実物の持つ迫力もさることながら、
いきなりメインディッシュが登場するサプライズ(?)も加わって、衝撃もひとしお。
“この展覧会はただものではない!”と直感させられました。
なお、いわゆる寺宝展で紹介されるようなものも、もちろんありましたが。
意外なところでは、昨年の大河ドラマでもお馴染み『源氏物語』が展示されていました。
こちらは、室町時代に作られたと伝わる源氏物語の写本で、
《五大明王像》同様に、東京で公開されるのは今回が初めてとのこと。
ちなみに、『源氏物語』の第18帖「松風」の巻には、
「光源氏が造らせた御堂は、大覚寺の南のあたりにあって」という一文があるそうです。
大覚寺と『源氏物語』には意外な縁があったのですね。
また、『源氏物語』以上に意外な展示だったのが、日本刀。
重要文化財 太刀 銘 □忠(名物 薄緑〈膝丸〉) 鎌倉時代・13世紀 京都・大覚寺蔵
源満仲や頼光、義経など清和源氏に代々受け継がれた名刀で、
重要文化財の《太刀 銘 □忠(名物 薄緑〈膝丸〉)》が出展されています。
「薄緑」という名は、義経によって改名されたもので、
この刀を受け取った際にいた熊野の山にちなんだものだそう。
なお、それ以前の名前であった「膝丸」の由来は、
罪人の首を斬ったところ膝頭まで斬り落とせてしまったから、とか。
・・・・・・・・・・・。
「膝切」や「膝残し」じゃなくて、
「膝丸」と愛称っぽくしているのが、逆に怖いです。
ちなみに。
本展では、そんな《太刀 銘 □忠(名物 薄緑〈膝丸〉)》と兄弟刀とされる、
北野天満宮蔵の重要文化財《太刀 銘 安綱(名物 鬼切丸〈髭切〉)》も併せて展示。
この兄弟刀が同一ケースで展示されるのも、
京都以外では、今回が初めてのことなのだそうです。
また、本展では他にも、通常非公開の正寝殿の「御冠の間」を再現していたり。
19匹のキュートなウサギが描かれた渡辺始興による《野兎図》が展示されていたり。
想像していた以上に、たくさんの見どころがありました。
しかし、本展最大のハイライトといえるのは、こちら↓
重要文化財 牡丹図(部分) 狩野山楽筆 江戸時代・17世紀 京都・大覚寺蔵
狩野山楽の代表作にして重要文化財の《牡丹図》。
大覚寺の宸殿で最も大きな部屋「牡丹の間」を飾る18面の襖絵です。
宸殿「牡丹の間」
その18面全てが一挙展示されています。
一室まるまるの襖絵が展覧会で展示される際、
本来の配置通りに再現するのがセオリーと言えますが。
冒頭から、いい意味で予想を裏切り続けてきた本展は、あえて横一列に並べて展示!
さらに、その隣や向かいにも襖絵を展示することで、
大覚寺の襖絵で周囲をぐるっと囲む展示空間を作り上げていました。
重要文化財《松鶴図》 安土桃山~江戸時代 16~17世紀 京都・大覚寺蔵
重要文化財 狩野山楽《松鷹図》 安土桃山~江戸時代 16~17世紀 京都・大覚寺蔵
(注:展示期間は1/21~2/16)
巨大なインスタレーション作品のようにも、
まるでイマーシブ(没入型)ミュージアムのようにも感じられました。
襖絵の展示史上もっとも斬新なのでは?!
この展示スタイルで狩野山楽の《牡丹図》を観られるのは本展だけ。
本場の大覚寺でも観ることはできません。
とはいえ、これはこれで大満足でしたが、
大覚寺の「牡丹の間」も観てみたくなりました。
展覧会を通じて、実際のお寺にも足を運んでみたくなる。
寺宝展としては理想的な内容だったように思えました。


ちなみに、斬新だったと言えば、
狩野山楽の《牡丹図》をモチーフにしたこちらのグッズも!
襖絵のクッション!
6380円也。
襖をクッションにしようだなんて。
日本史上初めての発想なのではなかろうか。
┃会期:2025年1月21日(火)~3月16日(日)
┃会場:東京国立博物館平成館
┃https://tsumugu.yomiuri.co.jp/daikakuji2025/













