今津景 タナ・アイル | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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インドネシアを拠点に活動している現代アーティスト、今津景(いまづけい)さん。

その国内では初となる大規模個展が現在、

東京オペラシティ アートギャラリーで開催されています。

 

 

 

タイトルは“今津景 タナ・アイル”

「タナ(Tanah)」はインドネシア語で「土」、

「アイル(Air)」は「水」を意味するそうです。

ちなみに、「タナ・アイル」と2つの単語を合わせると「故郷」を意味するのだとか。

 

さてさて、今津景さんといえば。

ネットやデジタルアーカイヴで得た画像を、

まずコンピューターで加工し、それをもとにキャンバスに油彩で描く。

デジタルなんだかアナログなんだか、という独得のスタイルで知られています。

それだけに、絵画がメインの展覧会なのかと思い込んでいたのですが・・・・・

 

 

 

なんとインスタレーション作品から本展はスタート!

こちらは《Bandoengsche Kininefabriek》という作品で、

マラリアの特効薬として知られたキニーネに着想を得たものです。

かつてインドネシアは世界一のキニーネ生産地だったそうで、

第二次世界大戦中には、その巨大な工場が日本軍に接収されたこともあるのだそう。

 

 

 

なお、本作は蚊を通じてマラリア原虫が人の体内に入り、

血流によって繁殖し、感染が広がる様子を表現しているそうです。

マラリアは日本とは関係ない病気と思っていましたが、

ここ近年の地球温暖化により、その感染の範囲が広がっているとか。

遠くない未来、日本でもマラリアが発生するかも。

そう考えたら途端に、妙に体内がムズムズしてきました。

 

さて、インスタレーション作品はこれだけではありません。

その次も、次の次もインスタレーション。

 

 

 

むしろ、インスタレーションで構成された展覧会でした。

圧巻も圧巻。

いい意味で、今津さんのイメージがガラッと変わりました。

星星

 

本展のメインももちろん、インスタレーション作品。

大きな展示室をまるまる使って展開されていたのは、

インドネシアの「ハイヌウェレ」神話をモチーフにしたインスタレーションです。

 

 

 

ハイヌウェレは、ココナッツから生まれた女神で、

その排泄物が金や陶磁器などの財宝に変わるという特徴がありました。

当初人々はありがたがってその金銀財宝を受け取っていましたが、

元が排泄物なだけに、次第に不気味に感じるようになっていったようで。

ある祭りの日に、生き埋めにして殺してしまったそうです。

それを知ったサテネという神は怒り狂いました。

 

(↑こちらはそのサテネがモチーフとのこと)

 

 

そして、殺人に関与した人々を動物や精霊の姿に変えたのです。

残った人々の子孫は今も、インドネシアのセラム島で暮らしているとか。

ちなみに、ハイヌウェレは生き返らせてもらえたわけではなく、

なぜか身体をバラバラにされ、再び土に埋められてしまったそうです。

そこから、タロイモやヤムイモなどさまざまな芋が育ち、島の人々の暮らしを支えたとさ。

めでたしめでたし・・・・・なのか?

 

なお、インスタレーション内の巨大なキャンバス作品のタイトルも《Hainuwele》

 

 

 

確かに、バラバラの身体とさまざまな芋が描かれています。

神話を知ったうえで観てみると、その巨大な画面から、

ハイヌウェレが受けた理不尽に対する悲しみのようなものが伝わってきました。

排泄物が金や陶磁器に変わるからって。

女神を生き埋めにしてはダメ。ゼッタイ。

 

 

 

 

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