年間に数多くの公募展が開催される「公募展のふるさと」こと東京都美術館。
そんな東京都美術館で2017年より毎年開催されているのが、上野アーティストプロジェクト。
公募団体で活躍している作家を紹介する展覧会シリーズです。
今年2024年は、「ノスタルジア」をテーマに、
“ノスタルジア─記憶のなかの景色”が開催されています。
参加作家は、全部で8名。
2021年に105歳で亡くなった女流画家協会の入江一子から、
日本の地方都市の何気ない風景を描き続ける二紀会の阿部達也さんまで。
幅広い年代、ジャンルの作家が取り揃えられています。
それだけ、「公募展のふるさと」東京都美術館では、
さまざまなタイプの公募展が開催されているわけですね。
ちなみに。
今回の最年少参加作家は、南澤愛美さん。
日本版画協会に属する1999年生まれの作家です。
日常の何気ない光景を、人間を動物に置き換えて表現し、
独特の柔らかさのあるカラーリトグラフで制作しているようです。
本展のテーマが「ノスタルジア」だからなのか、
はたまた、南澤さん自身がそういうモチーフに惹かれているのか。
釣り堀や銭湯を舞台にした作品が、半数以上を占めていました。
なんというか、いい意味で(?)若さを感じませんでした(笑)。
ベテランみすら感じたほど。
谷口ジローみを感じました。
さてさて、本展の8人の参加作家の中で、
個人的にもっとも「ノスタルジア」を感じたのは、
日本美術院特待の日本画家・芝康弘さん。
芝さんは一貫して、子どもをモチーフにした作品を制作しているのだそう。
おそらく初めて目にするものばかりでしたが、
どの作品も不思議なくらいに、懐かしさを覚えました。
遠い昔に、この光景を実際に目にしたことがあるような気さえします。
とりわけ懐かしい気持ちになったのが、《いつもの此の道》という作品。
情景そのものも懐かしいのですが、
描かれた光のトーンが、まるで写ルンですで撮った写真のようで。
そういえば、昔の写真ってこんな感じの色合いだったなァ。
エモさが爆発する一枚でした。
それからもう一人印象的だったのが、
現在、一水会の運営委員を務める玉虫良次さん。
玉虫さんが5年をかけて描き続けたという連作《epoch》10点が、
本展で初めて横一列に繋げ、約16mのパノラマ作品として展示されています。
インパクトは存分に味わえましたが、
本展のキーワードであるノスタルジアは・・・。
ノスタルジアって何かね??
本展を通じて、逆にノスタルジアがよくわからなくなりました(笑)

ちなみに。
東京都美術館では現在、ノスタルジア展と同じ会期で、
“懐かしさの系譜─大正から現代まで 東京都コレクションより”も開催中。
東京都立の美術館や博物館が所蔵するコレクションから、
川瀬巴水の新版画やホンマタカシさんが1990年代の新興住宅地を映した写真など、
「懐かしさ」が感じられる作品をセレクトして紹介するものです。
出展作品の中には、『ウェストサイド物語』をはじめとする、
1960年代、1970年代のアメリカの映画のポスター群もありました。
・・・・それに「懐かしさ」を覚えるのは、ある年齢よりも上の年代だけのような?
ちなみに。
日本歯科大学名誉学長で、
日本歯科医師会名誉会長でもあった洋画家・中原實の作品もありました。
その名もズバリ、《ノスタルジア》。
完全にデ・キリコ風の作品です。
そういえば、田中一村展のせいで、
記憶が上書きされてしまっていましたが、
夏までは、東京都美術館でデ・キリコ展が開催されていましたっけ。
この絵のおかげで、ちょっとした「懐かしさ」を感じました。











