この10月にめでたく、千葉県立美術館は開館50周年を迎えました。
それを記念して現在開催されているのが、
“浅井忠、あちこちに行く―むすばれる人、つながる時代―”という特別展。
現在の千葉県佐倉市出身の洋画家で、
近代洋画の先駆者とされる浅井忠にフォーカスした展覧会です。
実は何を隠そう、浅井忠は、千葉県立美術館にとって重要な人物。
その証拠に美術館の入り口脇には、浅井忠の銅像が設置されています。
千葉県美は開館以来、千葉ゆかりの作家として、
浅井忠の作品収集や調査研究につとめてきたそうで、
約200点の作品と約1500件の関係資料を所蔵しているそうです。
その浅井忠コレクションは間違いなく世界トップクラス。
本展では、そこから選りすぐりの350点以上が一挙公開されています。
なお、あくまでメインとなるのは、千葉県美の浅井忠コレクションゆえ、
東京国立博物館蔵の重文《春畝》や東京藝術大学蔵の重文《収穫》など、
浅井忠の代表作の数々が日本中から集結しているというわけではありません。
もちろん、千葉県美が所蔵する浅井の油彩画も展示されていますが。
本展ではそれ以上に、浅井のスケッチやデッサン、
パリ留学後に、工芸やデザインに力を入れ、
自ら後進を育てていた時代の作品が紹介されていました。
さらに、本展の肝となるのは、
『筑波日記』や『巴里日記』といった4つの日記。
旅好きで、記録魔でもあった浅井は、
旅の詳細な記録を日記に書き残しており、
本展ではその日記をもとに、浅井忠の人物像に迫っていましす。
なるほど。だから、展覧会タイトルが“あちこちに行く”なのですね。
なお、それら浅井の日記はデジタルアーカイブ化され、
千葉県立美術館のホームページ上でも公開されていますよ。
旅関連として展覧会では、日記の他にも、
浅井が旅先で描いたハガキも紹介されていました。
それらの中で個人的に特に印象に残っているのは、
奈良を旅している最中に描いたこちらのハガキです。
一番先頭にいる細長逆二等辺三角形の輪郭の男が、浅井忠本人。
奈良公園で鹿たちに鹿せんべいをあげている様子が描かれています。
100年近くも昔から、鹿せんべいがあったのですね!
そのことが妙に気になって、ググってみたところ、
なんと鹿せんべいは、1670年代にはすでに販売されていたそう。
本展とは直接関係ないですが、一つ勉強になりました。
さてさて、本展では、浅井の旅好きという側面だけでなく、
浅井の交友関係の広さに関しても、余すことなく紹介されています。
東京美術学校教授の浅井は、根岸に居を構えており、
その時に深くご近所付き合いしていたのが、正岡子規だったとか。
そんな2人の合作による掛軸も紹介されていました。
また、教育者としても活躍した浅井は、
次世代の画家たちにも慕われていたそうで。
本展のラストでは、梅原龍三郎や安井曾太郎ら、
浅井に影響を受けた画家たちの作品も紹介されています。
一般的には、地味な印象がある・・・いや、
そもそも印象すら浮かばないかもしれない浅井忠ですが。
本展を観れば、彼の人物像が明らかになるはず、きっと親しみを持てるはず。
千葉出身の自分としては、同郷に浅井忠がいて誇らしい気持ちになりました。


ところで、旅好きの浅井忠にちなんで、
本展の関連SNS企画として「#旅する100体の浅井忠」が展開されています。
浅井忠のアクリルスタンドとともにあちこちに行き、
その撮影した写真をSNSにアップしようというものです。
定員100名の募集企画なのですが、
千葉県立美術館から問答無用で(?)、
我が家にアクスタが送られてきました(笑)。
これからしばらく、彼とあちこちに行こうと思います。
















