先日の記事でもお伝えした通り、
B&G財団の助成で制作された『マンガふるさとの偉人』には、
芸術家を主人公にした漫画が多数あり、それらがなんと無料で配信されています。
本日は、先日の記事で紹介できなかったものを、
個人的なレビューとともに、一挙にまとめてご紹介いたしましょう。
まずは、近代の日本美術を語る上で、
避けて通れない超重要な思想家、岡倉天心の漫画から。
絵のタッチが少女漫画チックなのは、やや気になりましたが、
岡倉天心の生涯と業績がよくまとめられた内容となっていました。
マティスと交流があったのは初耳だったので、それが知れただけでも読んでよかったです。
そんな岡倉天心の彫像を制作したことでも知られる、
岡山県井原市出身の彫刻家・平櫛田中も漫画化されています。
彫刻が売れずに悩む若き日の田中に対して、天心はこんな助言をしたそうです。
「売れない物を作りなさい。そうすれば必ず売れます」
こういう場面で、わかりやすい言葉を残すのではなく、
謎かけのようなパンチラインを繰り出せるのが、真のカリスマ。
岡倉天心が芸術家たちに神格化された理由がなんとなくわかったような気がしました。
なお、田中自身も名言を残しています。
「いまやらねばいつできる わしがやらねばたれがやる」。
マンガを通じて、この言葉の真意を知ることができました。
彫刻家と言えば、陶土を用いた彫刻、
いわゆる陶彫で知られる辻晉堂の漫画も。
1958年のヴェネツィア・ビエンナーレに参加した、
現代彫刻界を代表する人物の一人ではあるものの。
一般的には馴染みがなく、かつ、そもそも陶彫自体がマイナーゆえ、
必然的に、マンガの吹き出し内のセリフが膨大な量となっていました。
『名探偵コナン』くらいに多かったです。
また、写真家の土門拳を主人公にした漫画もあります。
「写真ってアートなの??」
そう思っている人にこそオススメです。
印象的なエピソードはいろいろあれど、特に印象に残っているのは、
『婦人公論』に掲載された洋画家・梅原龍三郎のポートレートに関するもの。
実は、梅原は大の写真嫌いだったそうで、その撮影時に、
我慢の限界が来た彼は、座っていた椅子を床に叩きつけたのだそです。
(↑どんだけ嫌いなんだよ!)
土門拳はその寸前、ギリギリを見計ってシャッターを押したそうです。
他にも、「世界のタンゲ」こと建築家の丹下健三の漫画や、
笠間焼の中興の祖とされる田中友三郎の漫画もありましたが。
個人的にイチオシは、阿波の人形師、
初代天狗久こと吉岡久吉をモチーフにした漫画です。
主役は、初代天狗久ではなく、
民芸部に所属する現代の高校生の女の子。
彼女がひょんなことから、初代天狗久のいる時代に行き、
初代天狗久が作った人形の精霊とともに、現代に戻れるよう奮闘する物語です。
タイムスリップ要素あり、ファンタジー要素あり、ちょっとした恋愛要素もあり。
逆に、初代天狗久の伝記要素は薄め。
他の漫画と違って、これだけ『AWADWCO』と、
オリジナリティ強つよなタイトルが付いています。
『マンガふるさとの偉人』の中でも異色の一作でした。
この漫画を描いたぐんたおさんに是非、
他の芸術家を主役にした漫画も描いてほしいものです。







