カナレットとヴェネツィアの輝き | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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現在、SOMPO美術館で開催されているのは、

“カナレットとヴェネツィアの輝き”という展覧会。

18世紀ヴェネツィアの画家ジョヴァンニ・アントニオ・カナル、

通称、カナレットを日本で初めて本格的に紹介する展覧会です。

 

(注:展示室内は一部撮影可。写真撮影は、特別に許可を得ております。)

 

 

展覧会の冒頭を飾るのは、鳥瞰図やヴェネツィアン・グラスなど、

イタリアを代表する海洋都市ヴェネツィアにまつわる作品の数々。

 

 

 

世界一美しい都市の一つに数えられ、

今でも観光地として人気の高いヴェネツィアですが、

実は18世紀にも、観光地として爆発的な人気を博していました。

そのきっかけとなったのが、グランド・ツアー。

グランド・ツアーとは、イギリスの裕福な貴族の子弟が、

教育の集大成として行った、いうなれば修学旅行のようなもの。

と言っても、そのスケールは大きく、数か月から1、2年ほど、

長ければ5、6年をかけてフランスやイタリアを巡ったそうです。

そのグランド・ツアーで巡る都市の中でも、

とりわけ人気が高かったのが、ヴェネツィアでした。

 

旅行のお楽しみといえば、もちろんお土産物。

グランド・ツアーでやってきた観光客が買い求めたのは、

木刀や土地の名前が入った提灯、無駄に金色な置物でもなく、

都市の景観を精密に描いた絵画「ヴェドゥータ(都市景観画)」でした。

そのヴェドゥータを得意としたのが、本展の主役カナレット。

会場には、国内外より集められた選りすぐりの、

カナレットによるヴェドゥータの名品が集結しています。

 

カナレット《サン・マルコ広場》 1732-1733年頃 東京富士美術館

©東京富士美術館イメージアーカイブ/DNPartcom
 

カナレット《昇天祭、モーロ河岸のブチントーロ》 1760年 ダリッジ美術館、ロンドン

Dulwich Picture Gallery, London

 

 

一見すると、ヴェネツィアの情景を精緻に、

正確にトレースし、描き写しているように思えますが。

実は遠近感をあえてズラして描いたり、

複数の視点からの景色を組み合わせたり、

ヴェネツィアの情景をより素敵に見せるための工夫が随所に施されています。

しかも、画業を重ねるうちに、人の描き方も変化。

近づいてよく観てみると、意外とざっくりと描かれていることに気づかされます。

 

 

 

しかし、不思議なもので、離れて観ると、

それらにまったく違和感を覚えることはありません。

むしろ、リアリティすら感じられるのです。

 

カナレット《昇天祭、モーロ河岸に戻るブチン トーロ》 1760年 ダリッジ美術館、ロンドン

 

カナレット《ローマ、パラッツォ・デル・クイ リナーレの広場》 1750-1751年頃 東京富士美術館

 

 

これこそが、まさにカナレットマジック。

“ヴェドゥータの巨匠”と称されるのも納得です。

星星

 

 

ちなみに。

カナレットは“ヴェドゥータの巨匠”として、

ヴェネツィアで順風満帆な人生を歩んだのかと思いきや。

50歳手前のときに、ロンドンに渡り、

その後約10年もロンドンで過ごしたそうです。

その理由は、オーストリア継承戦争の勃発による観光客の激減。

観光客が減れば、当然、ヴェドゥータの需要も減ります。

そこで、イギリスから観光客が来ないなら、

こっちから行ってしまえばいい、とイギリスに渡ったそうです。

本展にはそんなイギリス出張時代(?)に、

カナレットがイギリスの景色を描いたヴェドゥータも紹介されていました。

 

左)カナレット《ロンドン、テムズ川、サマセッ ト・ハウスのテラスからロンドン のザ・シティを遠望する》 1750年頃 個人蔵

右)カナレット《ロンドン、北側からウェストミン スター橋を望む、金細工師組合マ スターの行進》 1750年頃 個人蔵

 

 

さてさて、本展ではカナレットのヴェドゥータだけでなく、

カナレットに影響を受けたヴェネツィアの画家たちのヴェドゥータも併せて紹介。

 

ミケーレ・マリエスキ《リアルト橋》 1740年頃 ブリストル市立博物館・美術館

 

 

それらの中には、ベルナルド・ベロットなる画家のヴェドゥータも。

 

フランチェスコ・グアルディ《小さな広場と建物のあるカプリッチョ》 1759年 東京富士美術館

©東京富士美術館イメージアーカイブ/DNPartcom

 

 

実は彼は、カナレットの甥に当たる人物。

伯父に倣って、「カナレット」を名乗っていたこともあったそうです。

当時のポーランド王に重用され、宮廷画家として活躍したため、

ポーランドでは、「カナレット=ベルナルド・ベロット」という認識なのだとか。


また、本展のラストでは、ホイッスラーやシッカートといったイギリスの画家や、

 

ウォルター・リチャード・シッカート《サン・マルコ大聖堂の一角、ヴェ ネツィア》 1901年頃 スコットランド国立美術館

 

 

ブーダンやモネといったフランスの画家など、

 

左)ウジェーヌ・ブーダン《カナル・グランデ、ヴェネツィア》 1895年 東京富士美術館

右)クロード・モネ《サルーテ運河》 1908年 ポーラ美術館

 

 

カナレット以降、19世紀に活躍した画家たちが、

どのようにヴェネツィアを描いたのか紹介されていました。

あくまでヴェドゥータ、お土産物として、

皆が理想とするヴェネツィアの情景を描いていたカナレットに対し、

19世紀の画家たちは、自分が美しいと思うヴェネツィアを描いていたような。

主観や演出が色濃く反映されていたように思えました。

 

ちなみに、個人的に惹かれたのが、

ウィリアム・エティなるイギリスの画家によるこの一枚です。

 

ウィリアム・エティ《溜息橋》 1833-1835年 ヨーク・ミュージアム・トラスト(ヨーク美術館)

York Museum Trust(York Art Gallery)

 

 

タイトルは、《溜息橋》

まるで演歌の曲名のようですが、

ヴェネツィアに実在する橋なのだそうです。

ドゥカーレ宮殿の尋問室と牢獄を結ぶ橋で、囚人は投獄される際、

この橋からヴェネツィアの最後の景色を見て、その目に焼き付けたのだそう。

だから、溜息橋。

山川豊あたりが歌ってそうです(←?)。

 

 

 ┃会期:2024年10月12日(土)~ 12月28日(土)

 ┃会場:SOMPO美術館
 ┃https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2023/canaletto/

 

 

~読者の皆様へのプレゼント~  
“カナレット展”の無料鑑賞券を3組6名様にプレゼントいたします。  
展覧会名・住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。  
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/ 
なお、〆切は10月31日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。

 

 

 

 

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