今年2024年、パリで100年ぶり、
3度目となるオリンピックが開催されました。
青いおじさんやらセーヌ川の水質やらとともに、
大きな話題となったのが、新種目として追加されたブレイクダンス。
日本女子代表のAMIさんが金メダルを獲ったり、
クロネコヤマトの配達員みたいな衣装の選手がいたり、
なんだかんだで盛り上がりを見せていました。
・・・・・と、そんなダンスイヤー(?)に、
箱根ラリック美術館で開催されているのが、“ラリック×ダンス”。
「ダンス」をキーワードに、ルネ・ラリックの作品を紹介する展覧会です。
(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
今なお根強い人気を誇るラリック。
それゆえ、ラリックの展覧会はこれまでに、
箱根ラリック美術館以外でも数多く開催されてきましたが、
「ダンス」を切り口にしたものは、おそらく本展が初でしょう。
というか、正直なところ、ラリックとダンスが結びつくイメージがありません。
一体どんな展覧会に仕上がっているのでしょう??
まず展覧会の冒頭で紹介されていたのは、ラリックの人体表現。
花や虫、鳥といった自然物を多くモチーフにしたラリック。
その一方で、人物、とりわけ女性をモチーフにした作品も制作しています。
その人体表現は実にナチュラル。
今にも動き出しそうな躍動感に溢れています。
なぜ、画家でも彫刻でもないラリックが、
これほどまでに人体表現にも長けていたのか。
実は、ラリックは幼い頃より、デッサン魔で、
虫や植物だけでなく、人物もデッサンし続けていたそうです。
さらに、ラリックのミューズで2番目の妻でもあったアリス、
その実の父と兄は、あのロダンの下彫職人をしていたのだそう。
それゆえ、ラリックは間接的にロダンの影響を大いに受けていたのだとか。
確かに、初期にはロダンを彷彿とさせる作品も制作していたようです。
さてさて、ラリックの生きたフランスを代表するダンスと言えば、バレエ。
しかし、ラリックが活動を始めた頃、バレエはオワコンと化していました。
その原因の一つが、男性パトロンたちが、
愛人である女性ダンサーを偏重したことにあります。
太客(?)を持った女性ダンサーが活躍する。
ある意味、キャバクラのような場となっていました。
なお、そんなバレエ界の状況を冷酷なまなざしで描いたのが、画家のドガ。
そのドガにインスパイアされたラリックは、
《ドガ》というタイトルの作品を制作しています。
と、バレエ界が下火だったアール・ヌーヴォーの時代、
フランスで活躍したのがアメリカ人ダンサーのロイ・フラー。
モダンダンスの祖と言われた女性です。
ヒラヒラとした衣装を身にまとい、
さまざまな色の照明を浴びながら舞い踊ったロイ・フラー。
その元祖プロジェクションマッピング(?)、
元祖エレクトリカルパレード(??)ともいえる、
画期的なダンスは、多くの芸術家にインスピレーションを与えました。
ラリックもその例外でなく、ロイ・フラー的な蝶々をモチーフにした作品を制作しています。
さらに、モダンダンスの祖とされるアメリカ人女性ダンサーがもう一人。
コルセットとトゥシューズを脱ぎ捨て、古代ギリシア風の衣装で、
自然や神話をテーマに感情の赴くままに踊ったイサドラ・ダンカンです。
その自由で革新的なダンスは、パリを熱狂させました。
ダンカンは50歳で悲劇的な最期を遂げますが、
その数年後に、ラリックはダンカンの名を冠した香水瓶を制作しています。
さて、衰退の一途を辿っていたバレエ界に、
20世紀初頭に、ロシアから黒船が来航しました(←?)。
天才興行師セルゲイ・ディアギレフが主催した伝説のバレエ団バレエ・リュスです。
彼らは、作曲や振付に一流の芸術家を起用したのはもちろん、
一流の画家やファァッションデザイナーも起用し、バレエを再び芸術の域に高めました。
そんなバレエ・リュスにインスパイアされた一流ガラス工芸家ラリックは、
彼らの代表的な演目である『火の鳥』と『牧神の午後』をガラスで表現しています。
ラリックとダンス。
展覧会を観るまでは、そこまで接点がないと思っていましたが。
無いどころか、むしろこれほどまでに、
当時のダンス界のトレンドと密接に関係していたとは!
切り口の面白さに、終始ワクワク。
胸と心が躍る展覧会でした。


なお、ダンス界に影響を受けていたラリックですが、
逆にダンスの世界に影響を与えていた可能性もあるようで。
展示のラストでは、アール・デコ博覧会の目玉として、
ラリックが制作した巨大なガラスの噴水塔《フランスの水源》。
そのビジュアルに影響を受けたと思われるダンスが、
1933年アメリカのミュージカル映画に登場したと紹介されていました。
その場面がパネルが展示されていましたが、
完全に《フランスの水源》をパクって・・・いや、パロっていますね。
どれだけ似ているかは、是非、会場でご覧くださいませ!
ちなみに。
本展とは全く関係ないですが、1年以上ぶりに箱根ラリック美術館を訪れたら、
ラリックの代表的な香水瓶の一つ「ダン・ラ・ニュイ」をモチーフにした新グッズを発見!
オリジナルデザインボトルのミネラルウォーター(他2種)。
なんでも8月末に発売されたばかりだそうです。
飲み終わった後に、お気に入りの香水を入れたくなっちゃいますね。











