東京藝術大学大学美術館で開催中の展覧会、
“黄土水とその時代―台湾初の洋風彫刻家と20世紀初頭の東京美術学校”に行ってきました。
黄土水。
その字面だけ見ると、なんとなく、
細木数子の占星術の用語のような印象を受けますが。
黄土水(こう どすい)は、台湾人初の東京美術学校留学生にして、
台湾人として初めて日本の官展に入選した経歴を持つ彫刻家です。
1930年に35歳という若さで池袋で亡くなりますが、
1980年代後半より本国台湾において再評価が進み、
今では、台湾を代表する彫刻家の一人と見なされています。
そんな黄土水にスポットを当てた今回の展覧会。
会場ではまず、藝大コレクションの中から、
彼の学生だった頃の同時期に制作された絵画や彫刻が紹介されています。
それらの中には、黄土水と同じく、
30代で早逝した彫刻家・荻原守衛(碌山)や、
黄土水に彫刻を教えた高村光雲の作品もありました。
黄土水にとって、高村光雲はとても重要な人物であったようで、
本展では、その息子である高村光太郎の作品と併せて数多く出展されています。
それら高村光雲作品の中で、
思わず二度見してしまったのが、《木寄文殊》。
完全なるポリゴン。
バーチャル世界の仏像、
近未来の仏像かと思いました。
一般的な仏像よりも、戦闘力は高い気がします。
さて、展覧会の後半ではいよいよ、黄土水の作品が登場。
動物をモチーフにした作品や、
お釈迦様をモチーフにした作品など、
個人蔵を半数以上含む計10点が出展されています。
なかでも本展の目玉と言えるのが、《甘露水》です。
作者が黄土水で、作品名が《甘露水》。
どっちも水でややこしいですが、
《甘露水》は昨年、台湾で国宝に指定されたばかりの逸品。
そんな台湾で今もっともホットな美術品である《甘露水》が、こちら↓
裸の女性が足を絶妙にクロスさせて、
どこか自信溢れるような表情で立っています。
その全体から発せられるオーラは、
やはり台湾の国宝に選ばれるだけあって、ただものではなく。
実際に当てられていたライティングとは別に、
作品自体が光輝いていました・・・ように思えました。
この1点を観るだけでも、展覧会に足を運ぶ価値はあります。


なお、《甘露水》にある台座のようなものの正体は、貝殻とのこと。
裸の女性が貝がらの上に立っている。
それが、《ヴィーナスの誕生》を彷彿とさせることから、
《甘露水》は「台湾のヴィーナス」とも呼ばれているそうです。
サーフィンのように横にして乗るのでなく、
貝殻を縦にして、ウィリー(?)で乗るなんて、
独特すぎる乗り方にもほどがあります。
また、黄土水は台湾の水牛をこよなく愛していたそうで、
水牛をモチーフにした作品を数多く制作していたようです。
こちらの《水牛群像(帰途)》は、
昭和天皇御大典のために制作されたブロンズの1点で、
もう1点は現在、皇居三の丸尚蔵館に収められているとのこと。
水牛の見た目もリアルでしたが、
その動きにもリアリティが感じられました。
個人的には、顔を休ませているこの子がお気に入りです↓
ちなみに。
日本ではまだまだ知名度の低い黄土水ですが、
昨年、《甘露水》が国宝に指定されたタイミングで、
国立台湾美術館で黄土水の大規模展が開催され、大きな話題となったそう。
その国民的な人気の高さは、翻訳版の図録からも十分に伝わってきました。
その重さ、厚みともにトップクラス!
これまで僕が手にしてきた図録の中でもっとも重い図録です。
本展を機に、日本でも黄土水がブレイクするかも。
命短し図録厚し。
















