三井記念美術館が、古美術入門編として、
毎年夏に定期的に企画している「美術の遊びとこころ」シリーズ。
その第8弾にして最新版となる展覧会、
“五感であじわう日本の美術”が開幕しました。
「五感を活用して、古美術を鑑賞しよう」が、今回のテーマ。
味覚(=味を想像してみる)や、
嗅覚(=香りを嗅いでみる)といった感覚別に、
三井記念美術館コレクションを紹介しています。
例えば、味覚のコーナーでは、
安藤緑山による見るからに美味しそうな、
象牙で作られた置物の数々が紹介されていました。
象牙とわかった上で観ても、
本物の野菜や果物にしか思えません。
特にナスの再現度は絶品!
スーパーマーケットに陳列されていたら、
100%ダマされてしまう自信があります(←?)。
なお、この隣には、同じく安藤緑山による帯留が展示されていました。
イチゴそっくりの帯留です。
普通に可愛らしくて、今でも売れそうなデザイン。
サンリオショップに陳列されていたら、
100%ダマされてしまう自信があります(←??)。
また、味覚のコーナーでは、
実際に使用されていた飲食器も紹介されていました。
その中でとりわけ印象に残っているのが、こちら↓
《交趾釉兎花唐草文饅頭蒸器》です。
江戸時代に作られた1人用サイズの饅頭蒸器とのこと。
確かに、ちょうど中華まんが1個だけ入るサイズですね。
仕事帰りで遅くなったサムライが、家族が寝静まった後に、
起こさないようにそーっと、饅頭を温め直して食べていたのでしょうか。
さてさて、展覧会では他にも、
円山応挙による屏風絵《山水図屏風》や、
板目を強風に見立てた酒井抱一の《秋草に兎図襖》、
意外なところでは、ランジャタイの語源となった(?)、
あの伝説の香木・蘭奢待の一部(と思われるもの)も展示されています。
こちらは、加賀前田家重臣の奥村助右衛門の家老の家に伝わったもの。
織田信長が蘭奢待の一部を切り取り、
その一部が家臣の前田利家に下賜され、
そのまた一部が奥村助右衛門に下賜され、
そのまた一部の一部が、家老に下賜されたのでしょうか。
小さすぎてハズキルーペが無いと、見えないくらいのレベルのサイズです。
また、三井記念美術館が誇る重要文化財、
長次郎の《黒楽茶碗 銘俊寛》と本阿弥光悦の《黒楽茶碗 銘雨雲》も出展中。
どちらも「触った感触を想像してみる」のコーナーで紹介されていました。
もし、普通に展示されていただけなら、
そこまで想像をめぐらさなかったかもしれませんが。
「触った感触を想像してみる」というヒントのおかげで、
鑑賞する上での取っ掛かりのようなものが出来た気がします。
《黒楽茶碗 銘俊寛》は、ぽたぽた、
《黒楽茶碗 銘雨雲》は、ざりざりとしていそう。
どちらも触り心地は良さそうですが、
口をつけて飲むことを考えると、《黒楽茶碗 銘俊寛》のが良さそうですね。
そんな風に古美術を楽しく鑑賞できたのは、
まさに、「美術の遊びとこころ」シリーズだからこそ。
古美術に苦手意識を持っている方にこそ、オススメしたい展覧会です。


・・・・・ただ、逆に想像しすぎてしまったという悪い例(?)もありました。
それは、亀岡規礼の《酒呑童子絵巻》を鑑賞していた際のこと。
源頼光や坂田金時ら四天王が、大江山の酒吞童子を成敗する絵巻、
いわゆる《酒吞童子絵巻》自体は、これまで他のバージョンを何度も目にしていますが。
本展では、「音を聴いてみる」のコーナーで紹介されており、
キャプションにも、『「敵を斬った音」も聞こえてきそうです」とあったため、
その音をちゃんと想像してしまい、初めて思わずゾッとしてしまいました。
これに関しては、想像しない方が良かったです。
想像しない方が良かったと言えば、
室町時代に描かれたとされる《勝絵絵巻》も。
勝絵とは、放屁の威力を競い合うもの。
勢いよく放たれた屁の威力で、烏帽子が吹き飛ぶさまが描かれています。
そんな絵が、「音を聴いてみる」のコーナーで紹介されていました。
・・・・・想像させるなよ(笑)。
まぁ、でも、「温度を感じてみる」や、
「香りを嗅いでみる」のコーナーで紹介されていないだけ良かったですが。













