逆境の絵師 久隅守景 親しきものへのまなざし | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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サントリー美術館で開催中の “逆境の絵師 久隅守景 親しきものへのまなざし” へ行ってきました。
江戸時代前期に活躍した絵師・久隅守景 (くすみもりかげ) を紹介する関東初の大規模な展覧会です。

会場
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


久隅守景は、狩野派随一の絵師・狩野探幽に師事し、
その実力から、探幽門下四天王の筆頭とまで目された人物。
・・・にも関わらず、家系、出自、生没年、
そして、その生涯でさえもよくわかっていないという “謎すぎる絵師” なのです。

今回の展覧会には、代表作中の代表作・国宝 《納涼図屏風》 を筆頭に、

納涼図屏風  久隅守景 国宝 《納涼図屏風》
二曲一隻 江戸時代 17世紀 東京国立博物館 Image: TNM Image Archives


重要文化財の 《賀茂競馬・宇治茶摘図屏風》 など、

               賀茂競馬・宇治茶摘図屏風
賀茂競馬・宇治茶摘図屏風
久隅守景 重要文化財 《賀茂競馬・宇治茶摘図屏風》  六曲一双 江戸時代 17世紀 大倉集古館


“謎すぎる絵師” 久隅守景の作品が日本各地から大集結していました!
もちろん、それなりに見応えはあったのですが。

久隅  久隅


狩野派風の作品あれば、それとは真逆の作風の作品もあって、
良く言えば変幻自在、悪く言えば行き当たりばったり (?) なスタイルゆえに、
結局のところ、展覧会を隅から隅までじっくり鑑賞しても、

「・・・・・で、久隅守景ってどんな絵師だったの??」

という感じでした。
ここまで、“謎すぎる絵師” も珍しいでしょう。
星


ちなみに、展覧会の最後には、
久隅守景同様に絵師として活躍した娘の雪信と息子の彦十郎の作品が紹介されていました。

彦十郎  雪


実は、この守景の2人の子供は、そろって問題児だったそうです。
雪信は、狩野探幽の門下生と駆け落ちを、
彦十郎は、悪所通いによって探幽から勘当を言い渡され、
さらには、同門の絵師との諍いによって投獄、佐渡へ島流しとなったのだとか。

そのエピソードを知った上で、
子どもたちが問題を起こした後に描かれた国宝 《納涼図屏風》 を見ると、何だか泣けてきました。
何でも無いような家族の団欒。何でも無いような夜の事。
二度とは戻れなかったのでしょうね。。。




・・・と、しんみりしてしまったので、最後は最も印象に残った作品をご紹介。
《鍋冠祭図押絵貼屏風》 です。

鍋冠祭  久隅守景 《鍋冠祭図押絵貼屏風》 
二曲一隻 江戸時代 17世紀 個人蔵


こちらは、滋賀県米原町の筑摩神社に伝わる鍋冠祭を題材にした作品。
鍋冠祭の当日、土地の女性たちは、
それまでに関係した男の数だけの土鍋をかぶって神社に参詣しなければならないのだとか。
もしもその数をごまかすと神罰が下るという、セクハラまがいのお祭りです。
左に描かれた美人な女性は、鍋を5つもかぶっています。
右に描かれた、そうでない女性は、鍋を被っていません。
・・・・・そういうことです。




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