こちらは、葛飾応為の傑作 《吉原格子先之図》 を中心に、光と影をテーマにした浮世絵を紹介する美術展です。
葛飾応為は、あの葛飾北斎の実の娘。
北斎の才能を引き継ぎ、女流絵師として活躍していた人物です。
その実力は、父・北斎に、 「余の美人画は、阿栄 (=葛飾応為) におよばざるなり」 と言わしめたほど。
ちなみに、葛飾応為は、そう美人でもなかったようで、
なんと父である北斎から、 「アゴ」 と呼ばれていたのだとか。
(↑こんなお父さん、絶対イヤですねw)
ビッグネームを父に持ち、さらには実力も申し分ないながら、意外と知名度が低い葛飾応為。
その最大の理由は、寡作であるからに他ならないようです。
実は、世界に現存する葛飾応為の作品は、たったの10点余り。
あのダ・ヴィンチよりも、あのフェルメールよりも寡作な画家なのです。
なので、今回の美術展タイトルに、葛飾応為の名前が冠されてはいますが。
出展されている応為の浮世絵 (肉筆画) は、 《吉原格子先之図》 1点のみです。
(挿絵を手がけた版本も1点紹介されています)
それくらい貴重なのだから仕方ありません。
「1点だけかよ~!」 ではなく、 「(10点余りのうちの) 1点もあるのか~!!」 なのです。
しかも、 《吉原格子先之図》 は、現存する数少ない葛飾応為の作品の中でも屈指の名品と評される1枚。
特に、光と影の表現の巧みさは、同時代の江戸の絵師の追随を許さないほどです。
では、実際に、その作品を見て頂きましょう・・・・・・・と言いたいところですが。
まずは、同時代の絵師たちが夜の情景を描いた浮世絵を観てみましょう。
歌川広重 《名所江戸百景 猿わか町よるの景》
歌川国芳 《東都名所 新吉原》まぁ、大体、夜の情景を描いた浮世絵というと、こんな感じです。
(歌川国芳の月灯りの表現や、適当な感じの影には、ちょっと首を傾げるものがありますがw)
これを踏まえた上で、同時代の葛飾応為は、どんな夜の情景を描いたのか、ご覧頂きましょう。

「


」画像でも、十分に驚いたでしょうが。
実物を前にした時の衝撃は、計り知れないものがありました。
いい意味で、全然浮世絵っぽくなかったです。
というよりも、まるでレンブラント。
西洋画のような陰影技法が確立していない江戸に、
こんな突然変異のような作品が生まれていたことに、大きな驚きと感動と若干のオカルトを感じました。
日本人として今まで知らなかったことを後悔するくらいに素晴らしい一枚。
あまりに光と影の表現がスゴすぎて、しばらく食い入るように観てしまいました。
何一つ申し分ないのですが、一つだけ気になって仕方がないのは、掛軸であること。
中身 (?) が、バリバリの西洋風にも関わらず、全体には掛軸作品なので、妙に違和感が・・・
額装希望です (笑)
ともあれ、 《吉原格子先之図》 を観るためだけに、足を運ぶ価値は大いにアリ。


もちろん、 《吉原格子先之図》 以外の作品も、
ただ単に賑やかしに徹しているわけでなく、見応えたっぷり。
個人的には、葛飾応為以降、明治に活躍した浮世絵師が描く夜の情景も好きでした。
独特の哀愁が漂っていて、なんとなくウイスキーのCMっぽいイメージを連想しました。
小林清親 《大川岸一之橋遠景図》
井上安治 《銀座商店夜景》また、 《吉原格子先之図》 の衝撃には一歩劣るものの (←?) 、
あえて輪郭線を無くすことで写真のような表現を目指したという浮世絵も、かなり斬新で印象的でした。
歌川幾芳 《俳優写真鏡 五代目尾上菊五郎の仁木弾正》最後に、作者不詳の 《室内遊興図》 をご紹介。
おそらく、 《吉原格子先之図》 にも遠近法が使われているので、それと関連させて展示していたのでしょうが・・・

「遠近法がハンパないですwww」
あまりに遠近法に忠実すぎて、逆に不自然になってしまったという典型例ですね。
過ぎたるは猶及ばざるが如し。
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