日本の美術界において創造性に充ちた活動を展開した芸術家・瑛九 (1911~1960) 。
もしかしたら、 “瑛太” と空目をしてしまった方もいらっしゃるかもしれませんが。
“瑛太” ではなく、 “瑛九” です。
お間違えなされませぬよう。
今年2011年は、瑛九 (えいきゅう) の生誕100年となる節目の年。
それを記念して、
瑛九が後半生を過ごした埼玉県浦和市 (現さいたま市) で、大回顧展が開催されています。
それも、うらわ美術館と埼玉県立近代美術館での共同開催です。
うらわ美術館では、 “生誕100年記念 瑛九展-夢に託して” 、
埼玉県立近代美術館では、 “生誕100年記念 瑛九展-宇宙に向けて” と、タイトルは、微妙に異なります。
ともに、11月6日まで。

この2つの美術展は、
瑛九に関する8つのトピックを、それぞれの美術館で4つずつ紹介しています。
もちろん、片方だけ観ても楽しめますが、
両方観ることで、成立する美術展となっています。
ちなみに、8つのトピックのうちわけは、以下の通り↓
Topic 1 文筆家・杉田秀夫から瑛九へ――――うらわ美術館
Topic 2 エスペラントと共に――――――――埼玉県立近代美術館
Topic 3 絵筆に託して―――――――――――うらわ美術館
Topic 4 日本回帰―――――――――――――うらわ美術館
Topic 5 思想と組織 ―――――――――――埼玉県立近代美術館
Topic 6 転位するイメージ―――――――――埼玉県立近代美術館
Topic 7 啓蒙と普及――――――――――――うらわ美術館
Topic 8 点へ・・・――――――――――――埼玉県立近代美術館
前半と後半というように、きっちり分かれていません。
ただし、トピックの順番通りに観ないといけないわけではありませんので、
埼玉県立近代美術館行って、うらわ美術館に行って、そのあと、埼玉県立近代美術館に戻って・・・
とする必要はありません。ご安心を。
ただ、個人的には、瑛九の人となりを知らなかったので、
Topic 1のあるうらわ美術館から観た方が良かったなぁという印象です。
(僕は、埼玉県立近代美術館から観てしまいました)
もう一つ付け加えるならば、
個人的には、埼玉県立近代美術館の展示の方が気合いが入っていて好きでした。
それだけに、まぁ、展示としては普通だったうらわ美術館から観た方が良かったなぁという印象です。
(重ね重ねになりますが、僕は、埼玉県立近代美術館から観てしまいました)
今回の美術展を通じて、初めて、瑛九という芸術家を知りましたが。
2つの美術館でプッシュするだけの芸術家でした!
正直、あまり期待はしていなかったのですが、かなり良かったです。
瑛九の作品そのものにも、そして、瑛九という芸術家を知れたことにも満足。


2ツ星。
さて、その瑛九の代名詞とも言えるのが、フォト・デッサン。
印画紙の上に直接物体を置き、感光させた後、
現像することによって、そこに幻想的なイメージを現出させる技法です。
“・・・あれっ、その技法って、
マン・レイや、先日、このブログでも紹介したばかりのモホイ=ナジもやってたよね?”
ちなみに、彼ら西洋の芸術家は、その技法を、レイヨグラフとかフォトグラムと呼んでいます。
Q フォト・デッサンと、どこがどう違うのでしょうか??
A ほとんど一緒です (笑)
ほとんど一緒ではあるのですが。
強いて言うならば、瑛九は、
印画紙をキャンバスに見立て、デッサンするような感覚で制作にあたりました。
やってることは一緒ですが、心のモチベーションが違うのです。
そんなフォト・デッサンで制作された作品は、
《Visitors to a Ballet Performance》

《『眠りの理由』より》

なんだか楽しげ♪
「♪ふっふ~ん」 という鼻歌が聞こえてきそうな、
今にも、動きだしそうな、軽やかさのある作品でした。
マン・レイのレイヨグラフ作品も、
モホイ=ナジのフォトグラム作品も、個人的にあまり好きでないのですが。
瑛九のフォト・デッサンは、理屈でなく、好きになりました。
瑛九は、このフォト・デッサンの光で描くスタイルに、美術界の未来を感じていたのだとか。
その明るい気持ちが、フォト・デッサン作品からは、
ちゃんと伝わってきて、観ているこちらもハッピーな気持ちになれました♪
さて、その後、瑛九は、
フォト・デッサンから抽象画へとスタイルを変えるのですが。
瑛九の抽象画作品も、やっぱりどこか楽しげで、個人的に好きな世界観でした。
《カオス》

《空の目》

そして、さらに、瑛九は抽象表現を突き詰め、
晩年には、点描画のような抽象画を多く描きます。
《プーケ(花束)》

《れいめい》

画像では伝わらないですが、
実際は、無数の点が大きなキャンパスいっぱいに描かれています。
それが、光の粒子のようで、絵の前に立つと、まるで光のシャワーを浴びるような状態に。
しかも、埼玉県立近代美術館では、
そんな光のシャワーを放つ瑛九作品が、4方向全てに展示されており、
光のシャワーに囲まれるという贅沢な体験が出来ます。
あと5分、あの場に滞在していたら、
たぶん僕の中で、何かが覚醒していたでしょう (笑)
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