Mission13 御岳山に登頂せよ!(後編) | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-せせらぎの里美術館



ここに一枚の写真があります。

人生で初めての登山をし、

その足で向かったせせらぎの里美術館の前で撮った、想い出の一枚。


この写真を見ていると、

いろいろなことが思い出されます。

辛かったこと。腹が立ったこと。泣き出したかったこと…。

あれれ、楽しい想い出は、いずこに?!



この写真が撮られるまでに、一体、僕に何があったのか。


物語は、登山に挑むところから始まります。



K女史の策謀 (?) により、

2人分の荷物を背負って、登山に臨むことになった僕。

リュックが悲鳴を上げています。。。


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-写真



僕らが挑んだ登山コースは、


鳩の巣駅 (徒歩80分) → 大楢峠 (徒歩70分) → 御岳山


という行程。


まず目指すのは、大楢峠という場所です。
登り始めは、だいぶ余裕がありました。
僕は、アートテラーらしく、最近行った美術展の話などをしたり、

K女史は、 「♪マ~ル~ハのち~く~わ」 といきなり歌いだしたり (←?) 。

楽しいハイキングと云った感じでした。



ところが・・・。


30分も、山道を歩き続けていると、そんな余裕はどこへやら。

足への負担。肩への負担。

湧き出る汗。乾く喉。

そして、何よりも、徹夜明けで重いまぶた。


日ごろ運動していないのが、

これでもかとたたって、肉体は限界に。。。

朦朧としそうな意識の中で、


“夢であってくれ。実は自宅で寝ていた、ってことになってくれ”


と、何度念じたことでしょう。

しかし、悪夢なことに、こちらこそが現実。

そんな現実を受け入れた時、


「うぉーーーーーーーー!!!!!!!」


思わず腹の底から雄叫びをあげてしまいました。

どうやら、僕の中の野生の血が覚醒したようです。

突然の僕の変貌に、さすがのK女史も、


「いつものとに~さんじゃない…」


と、戸惑っている様子。



ただ、覚醒したおかげでしょうか 、

その後、45分近く歩き続け、何とか大楢峠まで辿りつきました。

しかし、その時点で、体力ゲージは、0。

もうこれ以上の登山は無理そうです。


とりあえず、休憩を。

と、リュックを下ろした、その瞬間です。


「軽っ!えっ、体、軽っ!!!」


『ドラゴンボール』 の孫悟空は、

修行のために重り入りの胴着を着用していました。

彼が、その胴着を脱いだ時、

この時の僕と、全く同じ感動を覚えたに違いありません。

ともあれ、身軽になった瞬間、

体力が脅威的に回復して行きました。
自分で自分が怖くなるほどに。



一旦休憩を取れたことに加え、

“大楢峠~御岳山” の道のりが、整備されていたこともあって、

登山後半は、前半よりも楽な足取りで進むことが出来ました。


そして、登山開始から約3時間。

ついに御岳山のビューポイントへ到着!


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-御岳山  



達成感と充足感も相まって、最高の景色でした。

こんなにも美しい景色は、

今までの人生で観たことがありません。


ただ、登った当の本人は、

そんな景色とは裏腹に、汗やら何やらで、美しさの欠片もありませんが (笑)


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-とに~


その後、一行は、

心行くまで山頂からの眺めを堪能しました。



さてさて、ここからが本番です。

下山して、せせらぎの里美術館に向かわなくてはなりません。

美術館を訪れなかったら、この記事は、単なる登山リポート。

アートに全く関係ない記事になってしまいます。


下山は、ケーブルカーという選択肢もあったのですが。

ネイチャーガール・K女史も、

そして、にわか “山男” と化した僕も、ケーブルカーなる文明の利器に頼る気は全くなし。

降りるのも、当然、この脚で、です。



K女史セレクションの久石譲の音楽を、

iPodで聴きながら、自然と一体化しつつ下山する僕ら。

目に飛び込んでくる景色全てが、アートのよう。


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-御岳山   アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-御岳山



そんな夢ごこちのような時間が、どれくらい過ぎた頃でしょうか。

突然それはやってきたのです。

夢から覚める、その時が。

覚めない夢はなし。どんな楽しい夢も、必ず覚める時が来るのです。


“はっ!いつまで下山するんだ!?

 てか、美術館の閉館時間に間に合うのか?”


一番恐れていた事態が、起きてしまうのではないか。

嫌な予感がプンプンと漂ってきました。


「あのー、K女史さん。これって、間にあうのかな??」


気付けば時刻は16時を回っています。

そして、K女史から、とんでもない言葉が飛び出しました。


「とに~さん、走りましょう!」


「イヤだ~~~~ (泣)」


走って山を下る困難さは、

箱根駅伝を見て、イヤと云うほど知っています。

しかも、今の僕は、箱根のアスリートたちと比べて、

トレーニングは積んでない、3時間登山した疲労が蓄積されている、

そして、2人分の荷物の負荷が背中にかかっています。


「無理です… (泣)」


と言いかけた時に、そこにK女史の姿はなし。

すでにK女史は、走り出していました。


「お~い・・・・」


そこからの20分は、それはそれは壮絶でした。

もし、あれが地獄だと云うのなら、

今から心を念入りに洗って、天国に行ける人生を歩みたいと思います。



地獄のような下山を終え、

ようやく、御岳駅行きのバスに乗りました。

その時、時刻は16時35分。

閉館時間は、17時。

瀕死状態の僕は、すっかり諦めムードです。


が、運転手に話を聞いてきたというK女史から、更なる驚きの発言が。


「御岳駅には、ここから10分で着くみたいですよ。

 で、御岳駅から、せせらぎの里美術館までは歩いて20分だそうです♪」


「おいおい!今、16時35分だから、駅に着くのが、45分。

 そこから20分歩いたら、17時5分だよね?もう間に合わないよね?!」


どうやらゲームオーバーのようです。

しかし、K女史は、平然とこう言いました。


「とに~さん、歩きで20分ってことは、走れば10分ですよ♪

 16時55分には着くじゃないですか♪」


「まだ走るのかよ (泣) !!!」


終わりかと思っていたのですが、

ロスタイムがあったようです。


さぁ、ロスタイム10分。

死ぬ気で走ってやろうじゃないか (←自棄) 。

うぉーーーーーーーー!!!!!!!



御岳駅に到着するなり、ラストランが始まりました。

美術館を目指して、ひたすら走る一行。

4、5分ほど走ると、

『近道はこちら⇒ せせらぎの里美術館まであと8分』 の看板が。


先頭を走っていた僕は、迷わずそちらに誘導されました。

階段を下っていくと、多摩のせせらぎが目の前に。

ここからは、渓流沿いに進んで行けばいいようです。


と、ふと振り返れば、皆、一様に限界に近い表情。

おそらく、このペースでは間に合いません。

僕も相当に苦しかったのですが、

気力を振り絞れば、あと少しだけ走れそうなくらいの力は残っていました。


「こうなれば、僕がせせらぎの里美術館に滑り込んで、

 あとは交渉して、17時ちょっと過ぎまで開けててもらおう!」


そう決心しました。

ここが、一番の頑張りどころと、

自分に言い聞かせ、最後の猛ダッシュをしました。


最後の死力を尽くして、とに~は走った。


「待ってろ、セリヌンティウス…もとい、せせらぎの里美術館!」


K女史の応援が、

背中から聞こえてきました。


「とに~さ~ん!!とに~さ~ん・・・」


言葉を返す余裕は無いので、

走ることでその想いに応えました。

皆に絵を見せる。

それこそがアートテラーの使命。

例え、この脚がどうなろうとも。



それから、5分は走り続けたでしょうか。

いつまで経っても、せせらぎの里美術館に辿りつきません。

“おかしい…” と思って、ふと横を見ると、

『御岳駅近道は、こちら⇒』 の看板が。


「・・・・・・・・・・・ま、まさか」


気付けば、ケータイが鳴っています。

何となく察しは付いたものの、出てみれば、


「とに~さん、何、全力で逆走してるんですか?!」


という第一声。


「最悪だ…(泣)」


どうやら、渓流に辿りついた時に、逆走してしまったようです。

その時、K女史は、


「とに~さ~ん!!とに~さ~ん逆走してますよ!!」


と叫んでいたのだそうです。

珍しく声援してくれていると勘違いしていた自分に羞恥しました。



結局、僕が最後に逆走したせいで、

せせらぎの里美術館には間に合わず。。。

閉館してしまった美術館の前で撮ったのが、冒頭の写真です。




自然はいろんなことを教えてくれる。

重大な場面で選択を間違える男、それがとに~。

そう教えられました。





諸々応援お願いします・・・。

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