Book:2 『写楽殺人事件』 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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今、一番行きたい美術展が、江戸東京博物館で開催中の

「写楽 幻の肉筆画」  ギリシャに眠る日本美術 ~マノスコレクションより


そこで、行く前に。

こちらの一冊を読んでみることにしました。


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-写楽殺人事件



写楽殺人事件

 

  作者:高橋克彦

  出版社:講談社

   1999年/367ページ



謎の絵師といわれた東洲斎写楽は、一体何者だったか。後世の美術史家はこの謎に没頭する。

大学助手の津田も、ふとしたことからヒントを得て写楽の実体に肉迫する。

そして或る結論にたどりつくのだが、現実の世界では彼の周辺に連続殺人が起きていて―。

浮世絵への見識を豊富に盛りこんだ、第29回江戸川乱歩賞受賞の本格推理作。 (「BOOK」データベースより)

 

 
 
 

『写楽の正体は?』


と言えば、我が国を代表する美術ミステリー。


今まで、何度もメディアで取り上げられているので、

何となく知った気になっていて、正直、食指も動かないような感じでした。


が、今回、写楽展に行くにあたって、

改めて、写楽のミステリーについて考えてみると、


“写楽の正体が、なぜ謎なのか” が謎でした (汗)

(↑ややこしい言い回しですが…)



結局、写楽の謎について、

ちゃんと理解はしていなかったようです。


この小説の前半部で、

そんな写楽の謎というものを、きちんと整理してくれています。

これが、すこぶるわかりやすい!


“あー、確かに、それは謎だわ!”


と、謎が謎であることに納得。

(↑またも、ややこしい言い回しですが…)


そうして、謎が謎たる理由がわかったところで、

この小説ならではの画期的な説が発表されます。

これが、もう本当にグイグイと引き込まれる内容で!

久しぶりに、寝食を忘れて、本に没頭してしまいました。


ただ、これは、

ある程度、日本美術に対して下知識がないと楽しめないかなと。

僕は、最近、ちょうど勉強したばかりでタイムリーだったから、

“ふんふん♪” と頷きながら、読み進めることが出来ましたが。

「曙山」 や 「尚武」 というような画家の名前が、

注釈もなく、さらっと登場するので、普通の人は戸惑ってしまう気がします。



いやぁ、しかし、この小説を読んでいると、

浮世絵や秋田蘭画 (←今回のキーポイント。多少ネタバレ?) を観に行きたくて、ウズウズとします。

アートテラーの僕を、美術館に行かせたくするだなんて、この小説は只者ではないです (笑)



というわけで。

写楽の謎解きは、めちゃめちゃ面白かったのですが…


ですが…


この小説が後半に突入すると、

この写楽の謎に絡んだ殺人事件の謎解きがメインになりまして。


それが、もう、どうにも土ワイっぽい。

わざわざ時刻表が記載されて、鉄道トリックが登場したり、

安っぽいアリバイトリックが登場したり。

正直、取ってつけたようなミステリのようで、萎えました。。。



最初はあんなに面白かったのに。


クラスに必ず一人はいた、

“4月は面白かったのに、5月くらいから急に失速するヤツ”

のような小説です。


スター スター スター 半分星ほし (星3.5つ)」


~小説に登場する名画~


《三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛》


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛