
「米あまりはなぜ起きた」
中間業者が2025年の米の在庫を抱えて困っている。
その話を聞いて「自業自得」と書いている記事を読んだ。
なんとも、残念な発想だと思った。
僕は米農家でも専門家でもないが、これは中間業者だけを責めて済む話ではない。
結局は消費者にも大きな問題が降り注ぐ。
一番の問題点は農水省の政策だろうが、農水省を取り囲む利権団体も問題である。
そして、それも含めて、実は日本の食に関わる総合的な問題なのではなかろうかと。
そもそも、2025年、お米は不足していた。それは事実だと思う。
メディアに煽られ、慌てた中間業者は、自分たちの利益の確保と取引先への納入義務から、農家への直接買取を強化した。
そのために農協の出荷が減ってしまったのである。
多分、それが問題だった。
本来、日本人の食の根本であるお米は、全国くまなく倉庫と拠点と流通と取引先を持つ農協が、多くを扱うべきである。
農協は、農家が栽培だけに集中できるようにするために作られた。農協のおかげで、いつでも自分の米は流通に乗っていた。
農協が儲けているというのは事実ではない。
むしろ農協は、農家に先払いをしてくれる上に、売れた金額から決まった手数料を引くだけだ。
保管料や運送料、検査料、その他乾燥や選別にかかる費用も徴収されるが、そのおかげで農家は高額な機器を購入しなくても済む。
僕はとても良いシステムであると思っている。
全国に流通網もあり、販売先も確保されており、自分の米が売れないという心配はほぼ無かったのだから。
日本のどこかで不作でも、米が行き渡るのは農協の仕組みのおかげでもある。
値段が変わるのは致し方ない。それは需要と供給で変わるのだから。
しかし、米不足をメディアで煽られ、動きの速い、納入義務を持つ中間業者は、農協に先んじて農家と交渉した。
農水省の政策のせいで、低価格に喘いでいた農家は、少しでも高く買ってくれるならと、中間業者に売り出した。
農家も、稲作を辞めるか続けるかの瀬戸際なのであるから。
そして、農協の取り扱いが減り、そこへ持って、備蓄米が放出される。
しかも農協を守るために農協の扱いとした。それはまだいい。
ところが、人気取りの当時の農水大臣は、小売に直接販売するという政策に変えてしまったわけだ。
それが、全てが破綻するきっかけとなってしまったのではなかろうか。
米の値段は下がったが、消費者の米離れは加速し、中間業者は農家から高く仕入れた米を処理しきれなくなる。
さて、これは全員悪人だから起きた現象だろうか。
僕は逆だと思う。全員善人なのだ。
誰もが、自分の仕事の責任を全うしようとしただけである。
このままでは、お米の値段は下がり続け、農家は離農し、中間業者は赤字へ転落する。
農協の取扱量は増えるが、離農が増えれば、それも頭打ちになる。
中間業者が倒産すれば、農協が取り扱えなかった米は行き場を失う。
そして、中山間地域の田畑は荒れ放題になり、田畑に囲まれた田舎なのに、都会から運ばれてくる食料を買うしかなくなる。
食料は、田舎から都会へ運ばれるものだったのに、今や、それが逆転している。
日本の食料事情の悪化は、さらに進むだろう。
所詮、素人の感想でしかない話なので、これが正しいのだ!などとは言わないが、少なくとも、今の現象を見ていて、僕は暗澹たる気持ちになる。
もう、大規模農家だけに頼る農業は辞めるべきではなかろうか。
小規模農家が、地域の食料を生み出す。本来、食料安全保障とは、ローカルなものなのである。
決して、グローバルなものではない。
多くの人が、自給農に励める社会を作りたい。
それが僕の残りの人生のテーマである。
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