搬送車が先に葬儀場に着き


ダンナとワタシは少し遅れて

実家に荷物を置いた後


例の


13番さんのあな ―介護家庭の日常―

父の日記と印鑑を持って

葬儀場に向かった。


実家マンションから近く

なるほど、父がここを選んだのも納得できた。



病院に居る時

搬送先について少し母とモメた。


母は、一旦自宅に連れて帰りたいという。

しかし、自宅はマンションだ。


お棺をエレベーターで運ぶのも大変だろうし

もし、来客があれば接待しなければならない。


この時、母の精神状態は普通ではなく

ストレスは最高潮。

もう、ヨレヨレだった。


この状態で、父の遺体を家に持って来たなら

多分、母が壊れてしまうだろう。


弟が押し切る形で、葬儀会場に搬送するということにした。



父には悪いが、

それで、正解だったと思う。



ワタシ達が葬儀場に着くと

父は控え室に安置してあり

叔父が一人で番をしていてくれた。


13番さんのあな ―介護家庭の日常―

母と弟は、上の階で葬儀の打ち合わせをしているという。


ここでね、

ホントは父を拝んでから行かなきゃいけないんだけど

子どものころから

家にホトケさんがいた経験がないものだから

そのまま直行して注意され、また引き返す事に。


これ、今でも慣れず。

すまん。父さん。



改めて、打ち合わせに向かう。



13番さんのあな ―介護家庭の日常―

打ち合わせの内容は

祭壇のランク決めや会葬御礼の数

葬儀のお知らせの内容(関係者・親戚・近所別)

など

さしあたって決めなくてはいけないこと。


遺影は既に父が自分で用意して日記にはさんであったし


13番さんのあな ―介護家庭の日常―

経歴などもまとめてあり、完璧。




葬儀の日取りについては既に話しがついていた


・・・と、いうよりこの日しかなかった。


13番さんのあな ―介護家庭の日常―


ここらへんも父の計画か?なんて思ってしまう。




あとの細かいことはおいおい決めていくのだが


一点だけ



13番さんのあな ―介護家庭の日常―

そう、弟が言った時

一転、葬儀社の営業マンが渋い顔になった。



13番さんのあな ―介護家庭の日常―

と、営業マン。


よっぽど、徹底周到するのなら良いが

どうしても納めたいというお客さんが必ず出て来る。

そうなると、この人だけいただくという事は出来ないというのだ。


最近香典辞退で、という喪主さんが増えてきたが

だいたい最後はモメるんだそうだ。



う~ん。どうしよう。

悩んでいたら、タイムリミット。



枕経を上げに、お寺さんが到着されたと

知らせが来てしまった。


弟も悩みながら

「やっぱり、辞退ということにしてください。」

・・・と、なったのだが。



階下の控え室に行くと

既に、お坊様が待っていた。


思ったより、若い人だなぁ・・・。30代後半ってとこか?


早速、お経が始まり、あっさりと終わる。


で、その後は戒名の決定。


祭壇のランクもフツー

戒名もフツー。


父が、日記の説明をしながら

葬儀は華美にする必要はない。

と、言っていたのを受けて。


ちょっとジミ葬かな?とは思ったけれど

故人の遺志という伝家の宝刀があるからね。



ただ

このお坊様

語り口が、実にビジネスライク。


葬儀の時間を少し早目に、というと


13番さんのあな ―介護家庭の日常―


13番さんのあな ―介護家庭の日常―

坊さんはサラリーマンだった。


13番さんのあな ―介護家庭の日常―


13番さんのあな ―介護家庭の日常―

果たして、父はこのサラリーマン僧侶に

無事、浄土に導いていただけるのか


超不安。




ま、何とかお坊様との話もついて・・・ついたのか?


次は納棺となる。


この葬儀場では納棺の前に

湯灌をしてくれると、いうことで


作法にのっとって


弟、母、ワタシ、ダンナ、叔父の順に父の足元から

ひしゃくで、水をかけていく。



13番さんのあな ―介護家庭の日常―


特殊な浴槽に外の車のタンクから水を引いて

遺体の肌を遺族に見せないように厳かに進められる湯灌は

かの、『おくりびと』でもやっていなかったので

初めて目にするものだった。


手際よく、湯灌スタッフが父を清めてくれている横で

女性スタッフが

何やらサンプルを持って来た。



13番さんのあな ―介護家庭の日常―

父が湯灌の後着る白装束のサンプルなんだが


標準と、高級と分かれていて

それぞれの生地のサンプルの小切れが付いている。


触るとね


13番さんのあな ―介護家庭の日常―

標準と、高級 違いはあからさま。


もちろん、高級はオプション価格にございます。



13番さんのあな ―介護家庭の日常―


結局、

高級オプション白装束に。


衣装もつけていただいて

全員でお棺に納め

布団をかけ、

父のお気に入りコートをかけたら


『高級』、全く見えなくなりますた・・・。




ま、いっか。お父さんの着心地が良ければ。








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