武満徹さんの「小さな空」を子の時にうたった。せつない曲だ。胸がいっぱいになる。ひとりで、晩秋の雑木林を歩いているような気もち。今でも、飽きることなく聴いている。
きょう初めて、ネットでテレビドラマ「波の盆」(1983年)を観た。優れた音楽と脚本と役者を選ぶことのできる監督が、番組を制作できる時代があった。
春馬さんの生まれる前の時代。
春馬さんが武満さんの音楽に出会っていたなら。春馬さんは、この番組を観ていただろうか。
武満さんのドキュメンタリー番組で、“聴く”ことがどんなに大切なことなのかを話していらした。自然を、いのちを聴くこと、それが愛なのだと。
亡き友は、その生涯を通して原生自然と対話してきた人だった。自分の作品は、その歓喜と畏怖から生まれるのだと書いていた。
本来、春馬さんのしごとは、こうした、いのちと響き合う“こころ”を聴く人たちが集い、歓びのなかから作品を生み出す現場であったはずだ。
次々に、いのちを奪われる業界に、未来があるはずがない。
春馬さんの、表現者として真摯に生きようとした“こころ”が、武満さんの音楽で慰められるようにと、祈る。