絵本作家 安野光雅さんが

亡くなった

 

 

 

 

我が家には

 

子どもたちが幼い頃

小さな本屋並みに

たくさんの絵本が あった

 

 

 

当時 我が家は

アメリカに住んでいて

 

絵本は

子どもが 母国語である日本語を

楽しみながら覚える

最適なツールなのに

 

近所の図書館に

日本語の絵本は

ほとんど 置いてなかったから

 

 

しかも ラッキーなことに

 

周りの駐在員が 帰国の時

たくさんの絵本を

ガレージセールで 処分していくので

格安で 手に入れることができたから

 

 

そして

なにより

 

常に動き回っている

ハイパー息子 ドラ夫が

唯一


絵本を

読み聞かせしているときだけは

おとなしかったから

(オイオイ)

 

 

 

家の中に 絵本がたくさんあると

 

ドラ夫に振り回されて

こちらのエネルギーが切れかかった時

 

お気に入りの絵本を

すぐ 持ってこさせられるから

ホント 便利だった

(オイオイ)

 

 

 

でも

あんなにたくさん 読み聞かせたのに

 

結果的に

うちの子たちは ふたりとも

大して 読書好きにはならなかった


なぜだろう???

 

 





それでも 

 

 

それらの

有能な子育てヘルパーとして

お世話になった 絵本たちを

私は 捨てきれず

 

 

何回かの引っ越しで

取捨選択しながらも

 

子どもたちの 高校入学に合わせて

日本へ戻る時

 

小さな本棚 一段ほどは

はるばる 連れて帰ってきた

 

 

 

それ以降

狭い日本の家で 繰り返された

プチ断捨離にも 生き延び

 

今や 当然の面持ちで

階段の棚に 鎮座している

選ばれし 20冊あまりの絵本たち

 

 

その中の 2冊が

 安野光雅さんの


「ふしぎなえ」



「さかさま」

 

 

 

 

かつて たくさん持っていた

安野さんの絵本の中で

 

この2冊は 特に

子どもたちのお気に入りだった

 

 

 

「ふしぎなえ」は

 

不可能図形の画家 エッシャーに

影響を受けて 描かれた絵本で

 

毎度毎度

子どもたちと 目を凝らして

その 不思議な空間の世界に

飽きもせず たくさん遊んだ

 

 

時々 その後で

股のぞきをして

逆さの世界を 見てみたり

 

くるくる 回転したあとで

揺れる世界を 見てみたり

 

 


 

「さかさま」は

 

こちらも

エッシャー風の絵の中で

 

トランプの

上下が逆になった絵柄を テーマに

逆さまの国の人同士が

 

自分の世界こそが 正しい

 

と 何百年もケンカを続けている

 

という お話

 

 

お話に出てくる 兵隊たちの足音は

 

ぺる ぺる ぺる

 

怒鳴ることばは

 

だんへ だんへ

 

 

これらの擬音や さかさま言葉は

何年も

家族の中でだけ通じる ことばとして

我が家で 使われていた

 

 

 

 


 

偶然にも 昨年末

 

 

もう20代後半になった ドラ子が

 

ぺる ぺる ぺる

 

と 小さい声で言いながら

家の階段を降りていたのを 聞いて

 

 

私は 思わず 後ろから

 

だんへ だんへ

 

と 声をかけたことがあった

 

 

ドラ子が振り向いて クスリと笑った

 

 「あの絵本 まだある?」

 

「あるよ」

 

 

その時の 短いやり取りは

一瞬にして

20年の時を 超えて

私を 過去に連れて行ってくれた

 


その過去は

絵本が紡いでくれた

たしかに しあわせな時間だった

 

 

 

 

 

そんなことがあって


近々 

安野光雅の 絵本の世界に

また 触れてみたいな

 

そう思っていた 矢先だった

 

安野さんの訃報を 目にしたのは

 

 

 

 

 

安野さんの絵本を 通して

母子の たくさんの楽しい時間を

いただきました


ありがとうございました


 

ご冥福を

心より お祈りいたします