この季節
そばを通ると 強烈なにおいを 発している
いちょうの木が ある
きんなんの 実を付ける
雌の木
その下で
地元情報に 精通している
ご近所の オジサン オバサンたちが
その イカのような ウンコのような
匂いにまみれて
ぎんなん拾いに 忙しい
同居している 母も
例年通り 大量に拾ってきた
家中に
その イカウンコの臭いを 充満させながら
臭い果肉から 種を取り出し
それを 天日干しして よく乾かす
残り香は 3日は消えない
今年は
私の旅行中に 一連の工程を終え
それから3日 経ってたはずなのに
家の中は まだしっかり 臭かった
どのくらい 臭かったか と言うと
4コママンガの主人公と 同じように
私は
母が 体調を崩して
キッチンで 天に向かって 吐しゃ物を吹きあげたのか
と ホントに 思ったくらいだ
ま そうは言っても
ぎんなんは おいしい
とれたてのものは 特に
青々とした 色
もちもちした 触感
お酒のお伴に サイコーである
だから
毎年 この季節は 連日
晩酌のあては ぎんなん
母は 一緒にビールを 飲みながら
有難い と思いなさいよ
私のおかげよ
お店で買ってくると けっこう高いわよ
こんなパクパク 食べられないわよ
と 恩着せがましく 言う
でもね
あの残り香には かなりの忍耐が 必要だったわよ
壁も 床も シンクも
全部 拭き掃除 したんだから
それに だいたい
去年のぎんなんも 冷凍庫に まだ 残ってるし…
と
言いたい気持ちを ぐぐっと抑えて
そうだね ありがとう
と 答える私
女ふたり
たいていは 一本の缶ビールを
二人で 分け合って
それで じゅうぶん
ささやかな リラックスタイム
もし いつか
母が 遠くへ行ってしまった 時
ぎんなんを食べると
母を思い出すことが あるのかな
その時は もしかして
あの キョーフのイカウンコの臭いも
懐かしく 感じるだろうか