北海道旅行を計画中だ。
クマオと二度目の北海道になる。
「前行ったんいつやったっけ?」と
クマオが言ったので、
「2019年のお盆休み。」と即答した。
「え?7年前?
2020年と勘違いしてない?」
信じられない様子で言うので
「ううん、2019年。
クマオさん、まだあの人と付き合ってた時に
行ったんよ。」
「それはないわ。
あの人と別れてから行ったはず。」
「ちがうちがう。
クマオさんはあの人と付き合ってたって。」
「別れてたって!」
私は写真のライブラリーを遡って
2019年の夏の北海道旅の写真を見せた。
「ほら、2019年やん!」
「あ、でもこの時はもう別れてた時やわ。」
「違う。
別れてなかった。
彼女に内緒で行ったんよ。
私は何度も聞いたよ、
クマオさん、本当に私と行くの?
彼女は大丈夫なのか?と。」
「・・・・・」
「で、旅行から帰って
8月18日のクマオさんのお誕生日、
彼女が神戸港のクルーズ船のフレンチ
予約してくれたって言うて行ってたやん。」
イラッとして私は言った。
クマオの記憶が曖昧になってしまっている
ことが許せなく感じたのだ。
それでもクマオはまだ認めなかった。
「その誕生日はその年の誕生日かな?」
「その年の!
クマオさん、自分の写真遡ってみれば?」
いったい何なんだろう。
彼女がいるのに
私と北海道旅なんてしてしまうような
自分はそんないい加減男だったという記憶を
クマオは失っている。
人って都合のいいように記憶を塗り替えるって
いうけど、まさにそれ?
私だっていろいろ事情があったにしろ
彼女がいる人と旅をしたということに
良心の呵責がなかったわけではない。
私の語気が強くなったので
クマオが言った。
「わかったから!
はいはい、もうわかったから!
ボク、もう忘れてんねん。
覚えてないねん!
どっちでもええやんか!」
その言葉にいよいよ怒りがこみ上げた。
「ええことないねん。
その辺の時系列はきちっと記憶していて
ほしい。
(お前はそんな男やねんとは心の声)」
「わかったって・・・もう・・」
もっともっと言いたいことはあった。
そのあたりのことを突かれると
私は一晩中だってクマオをやり込める
言葉を持っているのだから。
だけどもう黙った。
これ以上言っても無駄だと
知っている。
この人はこういう人なんだ。
少なくとも結果的に二人の女性を
傷つけることになったことに
向き合うとしていない。
もし向き合ったとしたら、
逆に自分の罪の重さで立っていられないの
かもしれない。
他者を欺き、自分のことも欺いている。
一気に心がドッと疲れた。
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