幼い時、
靴の左右が識別できなかった。
兄を追っかけて遊びに出ると、
ほぼほぼ言われた。
「りこちゃん、
靴反対やで。」
え?
また言われてしまったと
幼心にも恥ずかしく思いながら
慌てて左右履き替えたものだ。
ある時、
じっと靴を眺めて、
よし、これが絶対正解だろうと履いたら
やっぱり言われた。
「靴反対やで。」
いよいよ困って兄に尋ねたら
こう教えてくれた。
「靴の先がそっぽ向いて喧嘩してたら
反対。
まる~くなってたら合ってる。」
この時目から鱗が落ちたと言ったら
大袈裟かもしれないが
それほど衝撃的にこの兄の言葉は
私の心にストンと入り、
そしてそれ以降間違うことはなくなった。
この幼い日のエピソードを
クマオに話したら、
クマオが「りこのそれ、目に浮かぶわ」と
笑って、それから言った。
「実はボクも靴の左右、
わからんくて
反対履いとった。」
「え?クマオさんも?(笑)」
靴って反対履く方がカッコええと
思っていたとクマオ。
そうそう。
シュッとなっててな。
私も反対履く方がいいと思ってた。
てか
反対の方が気持ちよかったよな?
なんて
どうでもいい話で
しばし盛り上がった。
さて昨日、
玄関にクマオのスリッパを
左右反対で置いておいた。
耳を澄ましていると、
入ってきたクマオが
「プっ」と笑っている声が
聞こえてきたので
「おかえり~」と
私もスリッパを左右反対履いて
迎えた。
しばし笑った。
何でもいい。
笑えることなら。
こういうのをバカップルと
言うなら、
この上なく幸せな響きだなと
感じる。
こういうの欲しい季節。

