やっと陽が昇った。一睡もできなかった。
8時過ぎ、それでもいつものようにクマオから電話があった。
「もしもし」
「・・もしもし・・」一晩中起きていたからか、声が出なかった。
「昨日ゴメン」。クマオはそう言った。
昨日?え?何それ。ゴメンって昨日だけのこと?
何を言っているのかこの人は。そう思った。
そして、やはり悪びれる様子はなく、むしろ開き直っているのか電話越しの声は
冷たく若干苛立ちさえ含まれているようだった。
きっと私から厳しく糾弾されると思っていたのだろう。
「付き合ってないよ」。クマオはまたそう言った。「これから付き合うことになるかも
しれないけど」と続けた。
どこまでも嘘をつく、そしてずるいクマオ。
「この間、お仕事って言って、○○に一泊で行ったよね。あの時彼女もいっしょだったの?」
私はなぜかそんなことを聞いてしまった。そう思う心当たりがあったからだ。
「行ってないよっ!仕事に決まってるだろっ!」クマオはわめいた。
「そうやって、オレのこと全部疑ってかかられると、もう話しても無駄だと思える」。
悲しかった。あんなに仲良しで、あんなに私のことを大切にしてくれていたクマオだったのに。
「クマオさん、昨日より悪くなってる」。
クマオは黙った。「とりあえず、集合時間になったから行ってくるよ」。
電話は切れた。