裕太から届いたメッセージ。
『⋯実はさ、ななに、まだ言ってないことがある』
その一文を見た瞬間、わたしの指が止まりました。
まだ言ってないこと?
何だろう。
別れた理由?
それとも、流産のこと?
色んな考えが頭の中を駆け巡ります。
わたしは少し迷ってから返信しました。
『何?』
既読はすぐに付きました。
でも、なかなか返事は来ません。
数分後、ようやく画面に表示された文章を見て、わたしは息をのみました。
『あの時、本当は別れたくなかった』
「⋯⋯え?」
思わず小さく声が漏れます。
頭の中にあの時の光景が蘇ります。
すぐに続きのメッセージが届きます。
『香織の妊娠が分かって、責任を取るしかないと思った
だから、ななを手放すしかなかった
でも最後まで、ななのことは好きだった』
最低だこの男。
スマホを持つ手が震えました。
それにそんなこと、今さら言われても。
わたしはあの時、本当に苦しかった。
何度も泣いて。
何度も自分を責めて。
やっと少しずつ前を向けるようになったんです。
すると、また裕太からメッセージが届きます。
『実はさ、何回かななの職場の近くまで行ったことがある』
その一文を見て、思わず目を見開きました。『え⋯⋯?』
すぐに次のメッセージが届きます。
『でも会う勇気がなかった
遠くから見て、そのまま帰った
もし今のななが幸せだったら、邪魔しちゃいけないって思ってた』
胸の奥が大きく揺れました。
そんなこと、全然知らなかった。
わたしは毎日普通に仕事をしていました。
そのすぐ近くまで裕太が来ていたなんて、想像もしていなかったんです。
スマホを見つめながら、小さく息を吐きます。
もしこの話を、もう少し前に聞いていたら。きっと、わたしの気持ちは大きく揺れていたと思います。
でも今は違う。
そしてその時、裕太から、もう一通メッセージが届いたんです。
『なな、会って話せない?』
その一文を見た瞬間、わたしの心は大きく揺れ始めました。
次回へ続きます。