裕太は何も言えませんでした。

わたしの言葉を聞いたまま、ただ俯いています。


しばらく沈黙が続きました。

駅前を歩く人達の声だけが聞こえます。


そして裕太が小さく言いました。

「そうだよな」

力の無い声でした。

「俺、自分でも何言ってるか分かんなくなってる」わたしは何も答えません。

裕太は苦笑いしました。


「最低だよな」

その言葉に少しだけ胸が痛みました。

最低。

それは事実です。

香織さんのお腹には子どもがいる。


真由さんも。

美咲さんも。

わたしも。

みんな傷付いた。


それなのに、目の前の裕太は、どこか昔わたしが知っている裕太にも見えました。

裕太が続けます。

「でも」

顔を上げます。

「ななと会って話したかったのは本当なんだ」

また胸がざわつきました。


嫌になります。

どうして今さらそんなことを言うんだろう。

どうして今でも、その声に反応してしまうんだろう。


わたしは視線を逸らしました。

「そういうところなんだよ」


次回へ続きます。



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