以前、娘が出場した「日本中学校ダンス部選手権」の全国大会で、審査員のひとりのプロダンサーが、最後の総評で次のような話をしました。

「審査結果がよかったチームは、自分たちのフォーメーションが客席からどう見えているかを理解しているし、研究している」

↑こんなニュアンスだったと思います。

ダンスの技術や表現うんぬんではなく、客席からの「見え方」について、中学生にアドバイスを送ったのです。

なるほど、と思いました。

選手たちが技術や表現に力を入れる気持ちはよく分かります。

なかには、踊ることで精一杯の子もいるでしょう。

しかし、ダンスを観る人は客席にいます。

客席からは、舞台の全体が見渡せます。

否が応でも、フォーメーション全体が目に入ります。

もちろん、ダンスですので、個々の技術や表現も見どころのひとつでしょう。

一方で、客席から観ていて、思わず「おっ!」と感動するのは、フォーメーションの変化に美しさや驚きがあるときなのです。

総評した審査委員は、<自分たちのダンスが人からどう見られているのか、もっと客観的な視点を持ちましょう>と言いたかったのでしょう。

客観性が大事なのは、ダンスだけではありません。

たとえば、文章にも同じことが言えます。

文章を書くときに、書きたいことを書く人は大勢いますが、この文章が、読み手にどう見えるか、読み手にどう読まれるか、客観的に考えられる人はごくわずかです。

しかし、読む相手がいる限り、大事なのは、その「客観性」なのです。

自分が伝えたいことを、自分が伝えたいように書いても、相手の心を動かせるとは限りません。

それは、個々の技術や表現がいくら優れていても、観客を魅了できるとは限らないダンスと同じです。

大事なのは、読み手から見て、自分の文章がどう見えているか、どう読まれているか、なのです。

「文章」は舞台上のダンサーで、「読者」は客席の観客です。

あなたの文章は、客席の観客からどう見えているでしょうか?

観客の気持ちが理解できている人ほど、読み手を魅了する文章を書けているはずです。