文章を書くとき、あるいは、人と話をするときに、自分の意見や感情を押しつけてはいませんか?

昨日の気温は25℃。

今日の気温は20℃。

「今日は少し涼しいなあ」と思う人は多いでしょう。

しかし、昨日の気温が15℃だったら、どう思うでしょうか?

「今日は少し暑いなあ」と思うのではないでしょうか。

つまり、20℃という気温は、暑いとも寒いともいえないわけです。

比較する対象があれば、「暑い」か「寒い」かを論ずることはできます。

しかし、比較する対象がなければ、20℃は、20℃でしかないわけです。

この理屈はあらゆる物事に置き換えることができます。

嬉しい出来事。
悲しい出来事。
寂しい出来事。
楽しい出来事。
腹立たしい出来事。

それらは、本当に嬉しいのでしょうか? 悲しいのでしょうか? 寂しいのでしょうか? 楽しいのでしょうか? 腹立たしいのでしょうか?

相対的には、おそらく「YES」なのでしょう。

ですが、気温と同じく、事実は事実であり、それ以上でもそれ以下でもありません。

その事実に意味付けをしているのは、その人自身にほかならないのです。

文章を書くときや、話をするときに、自分の意見や感情を表現することは大切です。

ただし、その意見や感情を「この世の絶対」として押しつけようものなら、読む人に(聴く人に)理解してもらえないかもしれません。場合によっては、反感を買うでしょう。

仕方ありません。なぜなら、あなたと他人は、事実に対する見方が違うからです。

あなたは25℃の世界から来たのかもしれませんが、他人は15℃の世界から来たのかもしれないのです。

15℃の世界から来た人に対して、25℃の世界から来たあなたが「20℃は寒いよね?」と言ったところで、理解してもらうのは難しいでしょう。

自分と他人とでは、見ている世界が違う——。

この理屈を知っているだけで、表現の仕方、言葉の選び方が変わってくるはずです。

文章であれ会話であれ、他人が、より興味・共感を抱きやすい伝え方ができるようになるはずです。

25℃の世界から来た人間が、「20℃は寒い」という気持ちを15℃の世界から来た人間に理解してもらうには、どうしたらいいでしょうか? 共感してもらうには、どうしたらいいでしょうか?

そこを考えることで、「伝える力」が鍛えられていきます。