吉田東洋と田中泯(たなかみん) |         きんぱこ(^^)v  

        きんぱこ(^^)v  

  きんぱこ教室、事件簿、小説、評論そして備忘録
      砂坂を這う蟻  たそがれきんのすけ

【田中泯さん】

 「竜馬伝」で吉田東洋役に、誰が出てくるのかを楽しみにしていた私は、その姿を初めて見た時に思わず「おー、ミンさんだ」と心の中で叫んで喜びました。
 田中泯(たなかみん)。一般にはあまり知られてはいない人かもしれませんが、『たそがれ清兵衛』を観た事のある人ならわかったはずです。


砂坂を這う蟻-2

たそがれ清兵衛 より 余吾善右衛門
(藩の命令により対決に来た清兵衛をなだめて座らせてから、病気で死んだ娘の骨を食べながら自分の言い分を話す余吾善右衛門)

 藩の政権交代によって言われなき罪を着せられ、藩の命令に従った清兵衛と死闘を繰り広げた余吾善右衛門(よごぜんえもん)役をした人です。
 この人は独特の雰囲気を持っていて、何と言いますか…人を殺めた経験を持ち、心の底に無感情を宿す重暗い人物の役をやらせると右に出る人がいないのではないかと思う様な演技をする人なのです。
 竜馬伝でも、この人がスクリーンに出てくると、サーッと空気が変わりますよね。
 この人はもともと、モダンダンサー。
 職業は、舞踏家で振付家であり、なんと農業者なのだとか。身体気象農場「桃花村」という農場をやっておられて、自然と踊りを追求されている人の様です。

 写真を見られるだけでも迫力がありますよ。この人の普段の写真からは考えられないようなパフォーマンスに驚きを感じます。オブジェクトは自分自身で時の流れの一瞬を色んな表現であらわしている様な、個性的な芸術家です。


【吉田東洋という人】
 一方吉田東洋という人は、政治家ですよね。剣術も一刀流、神影流の達人で学があり、相当な自信家だったと聞きます。
 東洋の嫁方が後藤家になり、有名な後藤象二郎は吉田東洋の甥になります。
 東洋は21歳の時に意見の食い違いから家僕を殺害。
 自信家で我が強くてプライドの高い吉田東洋という人物は、田中泯さん扮する東洋より豪快で明るかったかもしれません。しかし、あまり豪快で明るいと藩主山内豊熈(とよてる)や山内容堂(豊信)から疎んじられた可能性もあるので、竜馬伝の吉田東洋が本当の東洋に近かったのかもしれないな、などと想像しています。


砂坂を這う蟻-1

NHK 龍馬伝より 吉田東洋

【吉田東洋の不思議】

 吉田東洋の先祖は長宗我部の重臣だった。それならば普通は龍馬や岡田以蔵のように下士(かし)のなかでも郷士(ごうし)となり、上士ばかりの城内で参政など出来る筈もないのに上士として堂々と振舞っていたことが、不可思議でなりません。


【龍馬伝 俳優の目】

 この竜馬伝。監督は俳優の目にこだわっているのでしょうか。
 竜馬の目は優しく温かみを感じる目です。
 弥太郎の目は貧困で厳しく、人生の矛盾を感じながら、しかし人殺しの様な乾いた暗い目ではありません。藁をも掴んで生きようという目ですよね。
 吉田東洋の目は乾いて暗い目ですね。しかし心根は熱い。
 武市半平太はどうでしょう。最初はまだ優しい目でしたが、今の半平太の目は怖いですね。
 岡田以蔵はどうでしょう。今は優しい目をしていますが、殺戮鬼となった以蔵の目は、今後のドラマでどのようになってゆくのか楽しみです。