先日、性の専門家として、あるお悩み相談に回答しました。
TENGAヘルスケアが運営する、大人の性の悩み相談メディア「おとなセイシル」でのことです。
届いたのは、26歳の男性からの、こんなお悩み。
「ふたりの時間が、一度で終わってしまう。本当はもう少し続きを楽しみたいけれど、一度終わるとうまくいかない。パートナーからも"もっと一緒にいたい"と言われて、満足させられていないか不安です」
もし、あなたのもとにこの相談が届いたら
何と答えますか?
「気にしないで」と励ますことはできても、その先の言葉に、詰まってしまうかもしれません。
今日は、こうしたご相談に、私がどう向き合っているのか。
その思考のプロセスを、公開してみようと思います。
私は、こんなふうにお答えしました。
まず、一度終わったあとに眠くなるのも、すぐに気持ちが切り替わるのも、ごく自然なこと。
26歳で特別おかしいわけではありません。
そう、安心してもらうことから始めます。
性の悩み相談は、「自分だけがおかしいのかもしれない」と
不安になっている方が多いからです。
どれだけ、インターネット上に自分に近い悩みを見つけても、身近な人と共有・共感することがないので、どこまでも「自分だけ?」と思う気持ちは、なくなりません。
メールでのご相談も、対面のカウンセリングと同じです。
私はまず、冒頭にこの言葉を入れるようにしています。
「勇気を出して相談してくれて、ありがとうございます」
「悩んでいるのは、あなただけじゃないです」
相談するのには、勇気がいります。
特にデリケートなお悩みは、誰にも言えずに抱え込んでいることが多い。
だから、まずその一歩をねぎらうことから始めます。
次に、ご相談の中に、男女の役割についての思い込みが入っていないかを確認します。
そして、相手に言われた言葉の奥にある気持ちを読み解いて、別の解釈を提示します。
パートナーの「もっと」は、回数を増やしてほしいというより、「もっと満たされたい」「求められたい」という気持ちの表れであることが多いんです。
だとしたら、続きにこだわるより、一度の時間の密度を上げる方が、お互い満たされる。
そのうえで、困っている状況を、体のしくみで説明できるなら、説明します。
「おかしいことではないですよ」と根拠をもって伝えるだけで、人はふっと安心できるからです。
体の高まりは、リラックスした状態のときに起こりやすい。逆に、一度高ぶったあとは、体が緊張モードに切り替わっています。
だから「もう一度しなきゃ」と焦ると、体はもっと緊張してしまう。
一度終わったあとは、余韻の時間としてゆっくり過ごす。
お風呂に一緒に入ったり、触れ合い続けたり。
「もう一度」ではなく「続きの、やさしい時間」と捉えると、気持ちも体も、ふっと楽になります。
この回答を支えているのは、体と心のしくみについての知識です。
リラックスと緊張が、体にどう影響するか。
「回数」へのこだわりが、実は別の気持ちの表れだということ。
ただ励ますのではなく、根拠をもって安心させて、具体的に提案できる。
今回のご相談では、パートナーの「もっと一緒にいたい」という言葉が、何を意味するのかを考えました。
もしそれが「もっと愛情を確かめたい」という願いなら、ほかの方法でも、確かめ合えるはずです。
そう捉え直したうえで、コミュニケーションでカバーできることを提案し、最後は励ましで締めくくります。
こうして言葉にしてみると、お悩み相談に応えるには、いくつもの視点が必要なことが分かります。
体のしくみへの理解。
男女の役割をめぐる視点。
言葉の奥を読む力。
そして、相手を安心させる伝え方。
これらは、センスや経験だけでなく、知識として学ぶことができます。
(相談内容と回答の全文を読みたい方は、最後にリンクを貼ってあります。)
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ちなみに「おとなセイシル」の秀逸なところは、ひとつのお悩みに、複数の専門家が回答していること。
私が回答したこのご相談には、森林原人さんが「リピートしたくなる飲食店」という例えで、まったく別の角度からアドバイスをされていました。
例えが本当に上手で、「なるほど、こう答えるのか」と、私自身、読みながら学ばせていただきました。