「チェルビ」第五十四話 恋愛連載小説
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「マジで?可奈ちゃんとやろ?」
タイセイが、むせながら聞いた。
マサオと可奈ちゃんは、高校卒業と同時に付き合いだした。
一度別れたが、今年の夏前に、またくっついた。
「結婚式とかすんの?」
てっちゃんは、ニコニコしている。
仲間の結婚という大事件が、嬉しくて仕方ない様子だ。
僕たちの興味が、次々に沸き上がってくる。
来年の三月に挙式らしい。
最近できたばかりの、教会とレストランが一緒になったところがあり、そこで式と披露宴を行う。
「もしかして、今流行りの“できちゃった“か?」
僕の質問に、マサオは即答した。
「ちゃうわ!」
(結婚か・・・・・・)
無意識のうちに、ユイのウェディングドレス姿を想像していた。
白無垢も、意外と似合うだろう。
ユイと結婚。
今のところ、現実味のない妄想は、あまり膨らまない。
この時は、マサオに対する祝福と尊敬の気持ちのほうが優先された。
マサオが、真剣な声で頼んできた。
「イクオ、式の時、何か歌ってくれ。タイセイは、ギター弾いてくれな」
「オレは?」
てっちゃんは、箸で自分のことを指して尋ねた。
「てっちゃんは、後ろで踊って」
この後、てっちゃんから、踊るなら前がいいとか、一緒に歌いたいとか、タンバリンをするとか、いろいろな案が持ち出された。
僕たち三人は、ことごとく、それらを却下した。
最終的に、てっちゃんはウサギの着ぐるみを来て、僕が歌っている間、会場にいる人たちに、キャンディやお菓子を配ってまわる役に決定した。
僕は、仕事のことやユイのことを報告した。
「今度、彼女連れてこいよ。オレらが、イクオにふさわしい女かどうか、判断したるわ」
タイセイは、やはり、笑顔のまま話してきた。
そして、僕のタレ皿に、炭になってしまった黒焦げの肉を放り込んできた。
「それ、依頼料や。受け取れ」
その後、ユイの女友達の紹介を頼んできた。
盛り上がったまま、カラオケ屋に向かった。
皆のテンションはそのままで、結局、朝まで店にいた。
実家に戻り、少しだけ眠ることができたが、体も頭も寝不足のままだ。
ユイに電話をした。
「昼、一緒に食べよっか?」
僕の提案に、すぐに答えられないユイ。
携帯電話の向こうから、ひどい咳が聞こえる。
「ごめん。病院に行ってくる」
昨日の夜から、体調が悪かったらしい。
多分、疲労からくる風邪だろう。
熱もあるみたいだ。
携帯電話を切って、すぐに車に乗り込んだ。
自分以外の人間を、本気で心配するのは、久しぶりのことだった。
高速道路を走りながら、ぼんやりと昨晩のマサオの結婚話を思い出していた。
やっぱり、ユイのウェディングドレス姿を想像してしまう。
嬉しい気持ちになってきた。
誰に見られるわけでもないが、にやけた口元を片手で隠した。
マンションの駐車場に車を停めて、ユイの携帯電話に電話した。
まだ、病院にいるらしく、電話に出ない。
運転席のシートを倒して、目をつむった。
そのまま、浅い眠りと、意味のない考え事を繰り返していた。
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