「チェルビ」第五十三話 恋愛連載小説 | 「おっちゃん王国」NTG(大人になりきれないおっちゃん)のブログ

「チェルビ」第五十三話 恋愛連載小説

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年末年始の休暇が始まった。


休みの間は、実家で過ごす。


一人で昼食を済ませた後、着替えを詰め込んだバッグと一緒に、車で実家に向かった。


久しぶりの実家は、特に何も変わっていなかった。


僕が昔使っていた部屋は、家族の倉庫になっている。


たくさんの服を吊したパイプハンガーや、モノが詰め込まれたプラスチックケースに囲まれて、布団が一つ敷かれてある。


ここが、当分の寝床になる。


まずは、昼寝をすることにした。


ユイは、今日までカフェレストの仕事がある。


明日の昼に、実家に帰る予定だ。


僕が車で迎えに行って、ユイの実家近くの駅まで送ることになっている。


僕の実家には、現在、両親だけが住んでいる。


僕も弟も、大学卒業後、就職と同時に一人暮らしを始めた。


弟は、明日帰ってくる予定なので、家族揃っての食事は、明日の夜に持ち越された。


今日の夕方に、僕の友人が家まで車で迎えに来てくれる。


高校時代の同級生が、四人集まって、夜通し遊ぼうと企んでいた。




「久しぶり。生きてたか?」


助手席に乗り込んだ僕への第一声。


てっちゃんは、相変わらず元気そうだ。


他の二人は、僕たちを待っている。


そのうちの一人の家に向かった。


そこに車を置いて、近くの焼き肉屋へ入った。


食べ放題のこの店は、僕たちが集まったときに必ずと言っていいほど利用している。


「イクオ、久しぶりすぎちゃう?」


タイセイが、タバコに火を点けながら声をかけてきた。


「この前、会ったの、盆ちゃうかったっけ?」


てっちゃんが、僕の代わりに答えた。


「そうやったっけ?」


僕がとぼけていると、マサオが質問してきた。


「イクオ、仕事忙しいんか?」


テーブルに座り、注文した生ビールが来る前に、既に盛り上がっている。


ジョッキがやってきた。


皆、片手にジョッキを持って起立した。


てっちゃんの号令に、皆が続いた。


ジョッキを上に持ち上げて、三度連呼してから席に着いた。


この号令は、昔流行ったロボットアニメの中で、敵の軍隊が行っていたものだ。


僕たちの気分は、号令をきっかけに、一気に盛り上げる。


バラバラの話題が、ひとつずつ山場を迎えては、オチをつけて完結していく。


それでいて、僕が禁煙したことを告げても、皆の反応はイマイチだった。


肉や野菜が運ばれてくる頃、マサオの顔はいい色になっていた。


そして、いきなり立ち上がって、敬礼のポーズをとった。


なぜか、右手の指先は、右頬に突き刺さっていて、顔がおかしなことになっている。


「みんなに報告があります」


「なに?なんか、あったん?」


僕が尋ねると、マサオは大きくうなずいた。


「オレ、結婚するねん」


僕を含めた三人が、一斉に驚きの声を上げた。







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