「チェルビ」第四十七話 恋愛連載小説 | 「おっちゃん王国」NTG(大人になりきれないおっちゃん)のブログ

「チェルビ」第四十七話 恋愛連載小説

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もーりぃ嬢のとこ で、大きくなったチェルビが見られる! ありがとです♪





木下さんが、電話に出た。


どうやら、社内の人間のようだ。


「工藤主任。制作部の神崎マネージャーからです」


すぐに、工藤主任に代わった。


工藤主任は困惑したような言葉を並べていたが、僕には、その話している内容が、なんとなくわかる。


会話の端々に、知っている専門用語が聞き取れる。


大変な事態が起こっている。


間違いない。


入稿データのやり直しが必要なのだ。


工藤主任の会話を聞いているうちに、僕の鼓動が、早く、強くなっていく。


無意識のうちに強く握りしめた拳の中が、脈打っているのがわかる。


口の中の渇きを、押さえられない。


二回目の深呼吸も、改善策にはならなかった。


気持ちの中では、何かを引きずっていたが、強引に、自分の口を開かせた。


「代わりましょうか?」


「早川君。わかるんか?」


受話器を押さえて、こちらを向いた工藤主任の目は、不安と真剣さが入り交じっている。


「お疲れさまです。早川です」


電話の向こうの神崎マネージャーの口調は、予想外に落ち着いている。


神崎マネージャーは、状況説明を省略して、作業指示だけを伝えると言ってきた。


「わかりました」


指示通りに、一台のパソコンに向かった。


デスクトップにある無数のフォルダの中から、目当てのフォルダを開いて、作業するファイルを見つけた。


神崎マネージャーの言っていることが、自分でも驚くほどわかる。


僕の後ろに、工藤主任と木下さんだけでなく、部屋にいた全員が集まっていた。


「画像データの処理がおかしいと思います。あっ、やっぱりそうです」


神崎マネージャーが画像データの変更指示を出す前に、作業と確認を終えた。


「全部できました。これで、表示出来ています」


神崎マネージャーは、電話の向こうで、驚いている様子だ。


次の指示に従って、いくつかのデータをMOディスクにコピーした。


「フォントは、必要ないんですか?」


僕の質問が、神崎マネージャーの信頼を得たようだ。


それまで少し遠慮がちだった指示が、直接的な命令になっている。


二人の会話に無駄なものはなく、次々に作業が終了していく。


電話の受話器を、工藤主任に渡した。


「神崎。何とかなるんか?」


電話をしながら、工藤主任はメモ用紙に書き込みしている。


「わかった。早川君連れて、すぐに行くわ」


工藤主任は、部屋にいる全員に、緊急事態の簡単な内容を伝えて、就寝しておくように指示を出した。


僕は、プリントアウトした用紙とMOディスクを持って、ビルの一階に向かった。


工藤主任が、駐車場から配達用のワゴン車を回してきた。


「早川君、これ。頑張ってな」


助手席に乗り込む僕に、木下さんが熱い缶コーヒーを二本くれた。


ドアを閉めた車内で、僕はやっと一息つくことができた。








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